
ウォークイン・ビルトインチャンバーとは
表題のほか、
恒温槽と恒温恒湿室の違いについても解説します。
ウォークイン・ビルトインチャンバーとは
一般的に、温度と湿度が可変出来る装置は、人が入れない小型の物を試験槽と呼んでおり、人が入れる大きな物を、試験室と呼んでおります。
業者によっては、+5~40℃付近の範囲でも、温湿度が制御できれば、恒温恒湿室と呼んでいる場合も有ります。
この外に、標準試験室と言う呼び方も有り、この場合は、20~25℃/50~65%程度の温湿度範囲を示します。旧JISの恒温恒湿室は、20℃/65%で、新JISでは、23℃/50%です。
恒温恒湿室と言っても、メーカーにより、温湿度の制御範囲が異なる場合が有ります。
弊社には、加湿器を使用しない、独自のDPC方式の空調機が有り、この運転可能範囲が、標準試験室と呼ばれる部屋とほぼ同じなので、この範囲の温湿度の試験室を恒温恒湿室と呼んでおります。これより運転可能範囲が広く、低温低湿や、高温多湿運転の出来る装置は、環境試験室と呼んで、区別しております。
メーカーによっては、運転可能な範囲にかかわらず、人の入れる試験室を、ウォークイン環境チャンバーや、ビルトインチャンバーと言う名称で呼んでいる例も有ります。
カッコよい名前ですが、言い換えれば、恒温恒湿室か、環境試験室と言う事になります。
この他に、風速、日射、降雨、降雪等の試験が出来る試験室は、人工気象室と呼んでいます。
試験槽は、内容積で、1m角程度の物が多く、温度は、-60℃~+150℃等、かなり広範囲の温湿度で運転が可能な装置が有ります。
試験室と呼ばれるのは、人が入室出来るサイズの部屋ですから、環境試験室では、1坪程度から3坪程度の広さが、実際に多く納入されております。
室内で、人が入って実験や測定を行う事が主体の恒温恒湿室では、1.5坪~30坪程度が多くなっております。また、入室しますから、試験槽の様な過酷な条件の要求は少なくなります。
これは、広いと、過酷な条件では設備費や、電気料金が極端に高額になる為と、過酷な条件では、人は入室出来ないので、広くする必要性が無くなる為です。
過酷な条件は試験槽に任せて、広いお部屋は、恒温恒湿室にした方が、経済的になります。
入室しての連続実験や、測定する為の恒温恒湿室の最小面積は、1.5坪程度が多く、机を1台入れて、1~2名が入室出来るのが、一般的な最小の寸法です。
また、お部屋の高さは、既存の建物の中に設置する関係で、2300H前後が多く有ります。
過酷な条件で試験室を広くすると、設備費が高額になり、消費電力も大きくなります。
試験室の広さは、弊社技術資料の、試験室の広さの決定 の項目をご参照下さい。
運転を希望される温湿度でお見積の金額は大きく変わります。どうせ見積だし、作るのなら、温湿度範囲は、広い方が良いだろうとお考えになるのが人情ですが、運転可能な範囲を広げると、加速度的に見積金額が上がりますから、実現が困難になります。
運転可能な温湿度範囲を決定する時には、弊社技術資料の運転温湿度範囲の決定の項目をご参照下さい。
これら試験室の一般的な空調方式は、冷却コイルで空気を一定量に冷却してから加熱して、設定温度を保つ方式です。
空気は、冷却してから加熱すると、相対湿度が低下しますから、加湿器で加湿して、設定湿度を保ちます。この空調方式は、PID方式と呼ばれております。
一般的な恒温恒湿室では、パッケージエアコンを利用して、これにヒーターと加湿器を組込んでいる方式を一番多く見受けます。この方式は、汎用エアコンの流用ですから、価格的に一番安く、納入台数も多いのですが、加湿器の故障が多く、電気料金が高額になります。
一般空調用のエアコンですから、長持ちしない事も有り、長期間使用すると、修理用の交換部品が無くなるので、空調システムの全交換になる事も有り、選定には注意が必要です。
弊社には、独自開発のDPC方式が有ります。加湿器を使用せず、冷水で極めて高い温湿度を得る方式です。トラブルメーカーの加湿器が無い為に、非常に故障が少なく、極めて消費電力の少ない方式です。
購入は金額だけで決定される例が多いのですが、DPC方式を選定すると、その後1~2年の電気料金差で、イニシャルコストの差は回収できて、故障でも悩まされなくなります。
恒温恒湿室をご検討の場合は、弊社技術資料の、DPC方式をご参照下さい。
DPC方式では、18℃以下の温度や、20℃でも45%以下の湿度を設定すると、水で直接空調している関係で、冷却水が凍結してしまいます。
標準試験室と呼ばれる温湿度範囲以外の広い温湿度条件を希望される場合は、独自開発のCSC方式を採用しております。
低温低湿度の場合は、DCS方式と組み合わせて、広い温湿度条件にも対応しております。
環境試験室用の空調機では加湿器を使用しますが、弊社の空調機は、空調機内に2台の加湿器を組込んでおります。加湿器の稼働率を下げる工夫をしており、運転中に湿度を乱さずに、交互に洗浄する方式です。できるだけ故障を防止する様に考慮した独自の方式ですから、故障率がとても低く、修理も容易です。この方式も、消費電力が極めて少ない方式です。
環境試験室をご検討の場合は、弊社技術資料の、CSC方式の項目をご参照下さい。
どちらの方式も、従来の空調方式と比較すると、消費電力は、1/3以下になっております。
省エネ性能は、技術資料の、群を抜く省エネ性能の項目をご参照下さい。
ここには、他社製の装置を改造して、1/6の消費電力にした例など、極端に省エネにした実績集が乗せて有ります。
これらの資料を見せてお客様に説明すると、他社の性能と、あまり大きな差が有りますから、アイテックスは詐欺師では無いのかと、疑われてしまいます。
そこで、弊社では、川口工場にショールームを設けて、2室を公開しております。
ここで実際の装置をご覧になり、メンテナンス性、高い温湿度の制御、省エネ性能等を確認されて、気に入っていただき、この場所で内示を頂いた例は、過去に数多く有ります。
また、試験室を、ちょっと使ってみたい等の御要望が多いので、ショールームは、レンタルとしても、ご利用いただく事が可能です。