驚愕と言われる温湿度の精度
アイテックスが誇る業界でも驚愕の温湿度精度。
どれほどの精度なのか、実際のデータと共に解説します。
驚愕と言われる温湿度の精度
弊社独自のDPC方式では、空気より比熱の大きな冷却水を使用して制御しておりますから、この装置で得られる温湿度の安定性は業界でも驚愕と言われています。
下に示すのは、弊社のレンタル室で実際に運転している時の温湿度チャートです。
この記録計の温度側の目盛りは拡大しており、左端が10℃、右端が30℃で、中心が20℃になる様に設定しており、湿度側は0~100%で、そのままのスパンで記録しております。赤い線が温度で、ご覧の様にここまで拡大しても真っすぐに記録されており、±0.01℃以内の変動しか発生しておりません。チャートの速度は、ひと目盛り30分です。
湿度は変動しやすい性質が有り、安定させるのは非常に難しいのですが、0.02%程度しか変動しておりません。この湿度の安定性が、空調業界でも驚愕と言われる性能です。このチャートは、疑似信号では無いかと言われる程の優れた安定性を示しています。
この記録では、運転途中に運転条件を旧JISの20℃/65%から、新JISの23℃/50%に設定変更しておりますが、全くオーバーシュートしていない事にも驚かれております。但し、冷水で制御している関係で移行速度はあまり早く有りません。
尚、これは正確に言うと温湿度の安定性であって精度ではありません。温度分布を心配される場合は、別途温度分布の資料をご参考にされて下さい。
新品の温度調節計、湿度調節計、温湿度センサを2台使用して、同じ場所の温湿度を測定しても、両者の湿度指示が一致する事はなかなか有りません。温度はほとんど一致しますが、実は湿度は数%違う指示値を示す事が良く有ります。新品の調節計とセンサを採用しても、その指示値は経験上ではあまり信頼出来ません。また、お客様がお持ちの検定済みの測定器と指示が合わないと言う苦情も良く有ります。
経験上、測定器として信頼できるのは水銀温度計です。湿度は湿球ガーゼを使用した湿球温度との差から湿度を読み取るアスマンが、一番正確で経年変化も有りません。
右の写真は通風型温湿度計で、通称アスマンと呼ばれています。
2本の水銀温度計で構成されており、片方にはガーゼが巻かれております。このガーゼを蒸留水で濡らして、ここに風速1m/secの風を流すと、気化熱で湿球側の温度は低下します。この差から換算表を用いて、相対湿度を割り出す方法です。かなり原始的な方法ですから読取り誤差も起きますが、適正なガーゼの巻き方であれば何台並べても同じ温度と湿球温度を示します。
ちなみに、アスマンはガーゼが規定通りに巻かれておれば経年変化は有りません。この為、気象庁検定付きのアスマンの検定書には、有効期限が記載されておりません。
実際の現場では蒸留水の保守等、手間のかからないデジタル表示の測定器で半導体方式のセンサが使われておりますが、数台並べると同じ値を示す事はまず有りません。温湿度センサを数台お持ちのお客様から、「センサを部屋の各端に置いたら、温度分布は良いが湿度分布が悪い」と言われる事も有ります。センサを1ヶ所に集めて測定して貰うと、同じ場所なのに指示された湿度指示は離れたままで変わる事が無く、驚かれます。
理論的には、温度が同じなら相対湿度は必ず同じになります。温度分布が良くて湿度の分布が悪い例は、理論上ではあり得ないのです。また、これらのデジタル計器は、検定付きの測定器であっても経年変化によるドリフトが有りますから、検定の有効期限は1年間です。
現在の恒温恒湿室では、蒸留水の保守に手間がかからない様に半導体式のセンサが使用されておりますが、新品であっても検定付きのアスマンと比較すると、最初から湿度に誤差が発生している事は良く有ります。
また、高温多湿や溶剤の使用等、使用する条件によっては大きく経年変化する事が有りますから、精度を重要視する場合は定期的にアスマン等の測定値と比較して、誤差が無いか確認する必要が有ります。
アスマンを手に持って測定すると、正確には人体からの輻射熱や呼気による湿度の誤差が発生します。できれば無人で測定したいのですが、アスマンでは顔から離れたら水銀温度計の目盛りを読み取る事は出来ませんので、風下で呼吸を止めて測定する必要が有ります。
そこで弊社では、水銀温度計を利用した気象庁検定付きのデジタル表示の温湿度測定器(ハイグロステーション)でセンサ部分の精度を確認して、調節計の指示をこの指示に合わせる様に補正しています。温度分布も工夫しており、実績的に心配有りません。
弊社では新設の恒温恒湿室であっても試運転時には、必ず下の写真の様に温湿度計の指示を測定器で確認し、誤差があれば測定器の指示値に合わせて補正しております。
下の写真は、実際に温湿度の比較を行っている状況です。右側に見えるのが、気象庁検定付きの温湿度測定器 (ハイグロステーション)です。
弊社では、室内から温湿度が見える構造にした試験室は良く有ります。この場合は、写真の様に室内の気象庁検定付きの測定器の指示に合わせて、制御盤側の温/湿度調節計の指示を補正しています。
弊社では、この様に新設の恒温恒湿室であっても必ず温湿度は検定付き測定器で確認しており、誤差が有れば補正してからお引渡しをしております。
また電子的な半導体センサでは使用条件によってはドリフトする事が有りますから、御希望により定期点検で精度の確認、指示値の補正等を行っております。