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通風型センサ

主流となっているセンサの形式や、
弊社の工夫について解説します。

通風型センサ

試験室の室内で、温湿度を測定するセンサは、過去に、強制通風型と、自然な空気の流れで検出する自然通風式の温湿度センサの二種類が有りましたが、現在は、自然流通式ばかりになってしまった様です。

強制通風型のセンサは応答速度が速いので、オーバーシュートが少なく、室温も早く安定しますが、通風型は価格が高く、センサのサイズが大きくて、室内に出っ張ります。騒音も大きく、静かな試験室では、このファンの音が、かなり気になりました。

また、センサは、長期間連続で測定しますから、強制通風型では、ファン本体が故障したり、ベアリング不良により、しだいに騒音が増加してくる事も経験しております。

試験室は、一般的に低風速低騒音が好まれますから、弊社では、特に室内は低騒音にしております。過去に、市販の強制通風型センサを使用した事が有りますが、静かな試験室に強制通風型のセンサを採用すると、この騒音が、静かな部屋の中に響き渡る結果になります。

この騒音が原因なのか、価格が高い事が原因なのか、現場ではほとんど強制通風型のセンサを見る事が無くなりました。ネットで調べても、販売が中止されており、通風型で検索しても、どのメーカーにも見当たらなくなりました。
代わりに、メーカーでは、自然通風センサの応答速度を上げる様な工夫をしているようです。

温度センサに関しては、小さな物で、センサ部分が直接外気に触れる構造の物を選定すれば、応答速度が速く、センサが埃に埋もれても大きな影響は有りません。埃は拭えばすぐに取れますから、これら裸の温度センサであれば応答速度が問題になる事は、ほとんど有りません。
但し、スリットの入ったケースに納められた温度センサは、やはり応答速度が低下します。

湿度センサの方は、応答速度が速いのですが、湿度センサは細かな塵を嫌う為に、通常はフィルタで囲われた中に、湿度センサの本体が納められています。
湿度は、簡単にフィルタを通過する様で、湿度側の応答速度は、あまり問題になりません。

問題なのは、温湿度センサで、素子の交換性を上げる為なのか、温度センサを保護する為のフィルタの中に、温度センサを入れてしまったタイプが有ります。
フィルタの中は風が流れませんので、このタイプのセンサの温度側の応答速度は、極めて遅くなります。

裸の温度センサと、この様なフィルタ付の温湿度センサの応答速度差を比較すると、温度側のセンサの反応速度が非常に遅い事に驚きます。フィルタに囲まれた温度センサも市販されておりますが、センサに洋服を着せた様な物です。はっきり言って、応答速度が遅くなり過ぎで、高精度な温湿度を要求される試験室では、使い物になりません。

弊社では、市販のセンサでも、特に検出速度の速い温湿度センサを採用し、さらにセンサ自体を加工しており、取付け位置に風を流す工夫もして、温度側の応答速度を上げ、非常に精度の高い制御を行って来ました。

お客様のご希望では、低風速低騒音の試験室が好まれます。室内を低風速にすると、センサ付近に風がほとんど流れないので、反応速度がとても遅くなります。精密な制御では、低風速にする程、この応答遅れが問題になって来ました。
お客様のご希望通り、低風速低騒音にした試験室の温湿度の精度に、応答性の遅れによる誤差が有ったり、温湿度の安定性が悪くなったのでは、話になりません。

他社では、センサを吹出口の風の当たる場所に取付けしたり、ダクト挿入型の温湿度センサを使用して、送風ダクトの中に検出部を差し込み、風の流れている場所で検出して、応答性を高めている例が多く有ります。
この方法は応答速度は早くなりますが、低風速ですと、温湿度の移行時には、調節計の指示が設定に到達しても、実際の室内中央の温湿度は、まだまだ到達できておらず、かけ離れた値になっている事が有ります。
また、低風速では、室内の温度分布が低下するので、天井付近では温度が高く、床では温度が低いと言った問題も発生します。

市販品に強制通風型のセンサが無くなり、自然通風型のセンサを低風速低騒音の試験室で使用すると、制御性がかなり低下してしまいます。そこで、自然通風型のセンサに、独自で開発した低騒音の通風ユニットを組み合わせて試験的に使用した所、低風速低騒音な試験室でも、騒音は全く気にならず、応答性が高くなるので、制御性が向上しました。
試験的に、設置場所の近いお客様から、この通風型のセンサを設置して様子を見て来ましたが、精度が上がり、故障も出ないので、設置件数を増やしております。
一般的な風量の恒温恒湿室でも、この改造したセンサを使用すると、制御性と精度がさらに高まります。
現在は、標準的な試験室でも、この強制通風型に改造したセンサを標準装備としております。

これは企業秘密ですから、写真はお見せ出来ません。

 
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