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トレッドミル室

トレッドミル室の仕組みや
必要な設備について解説します。

トレッドミル室

トレッドミル室の項目を見て、このページに来られた方は専門的な知識の有る方で、一般的には、トレッドミルという名称は、知らない方も多いと思います。
ルームランナーとか、ウオーキングマシンと言った方が判りやすいと思います。

この外に、エルゴメータと呼ばれる床に固定された自転車が有り、エアロバイクとも呼ばれています。これらは、身体能力の測定、競技者のトレーニングに使用されています。

簡単に説明すると、トレッドミルは、回っているベルトの上を走る機械で、走る速度と、傾斜が変えられる物で、人間に可変する負荷を与えて、呼吸数や脈拍の変化、疲労度等を測定する為の機械装置です。
エルゴメータには動力が無く、ペダルの重さ調整をして負荷を替えて、これを自分で漕いで、呼吸数や脈拍の変化等を調べます。

身体を鍛えるだけの目的であれば、この上を走れば鍛えられますが、実際の外気条件を考慮して、研究に使用する場合は、最低限、温湿度が変えられる事が必須の条件になります。
冬季と、夏季の外気を考えると、+5℃~40℃位の範囲で温度調整が出来る物が求められ、湿度も、20~80%程度の可変が出来る物が要求されます。

この範囲の温湿度を制御する実験室は良く有りますが、人間には、体感温度と言う物が有り、ごく一般的には、風速が1m/sec上がると、1℃低く感じると言います。
トレッドミルの上を走っても、身体に風が当たらなければ、体温が上昇して、実際の条件とは条件が変わりますから、疲労度も大きく変わります。
そこで理想的な実験では、人体送風機で、速度に合わせた風を前方から人体に当てて、測定する事も重要になります。これは、扇風機で代用している例も有ります。

この外、太陽熱も影響しますから、陽光照明と呼びますが、太陽を模した照明を身体に当て、輻射熱(黒球温度)の影響を測定している例も有ります。

実際の高地の競技では気圧の影響も有りますが、試験室の圧力を高地と同じ状態に減圧するには、試験室が潜水艦と同じ構造になり、大変な設備になりますから、実際には、酸素の濃度をその高地と同じ濃度に低下させて、お部屋を減圧する事の代わりとしています。

大気中の酸素濃度は、約21%で、高度が変わっても、この比率は変わりません。
但し、高度が高くなると、空気が薄くなるので、酸素の分子量が低下しています。この為、平地でトレーニングした競技者は、何時ものペースで走ると、酸欠の状態になります。
酸素の分子量が減ると、運動すると疲れやすく、息切れ、頭痛などの原因になります。

身体能力測定には、室内の炭酸ガス(CO2)濃度も影響しますから、換気も重要です。
人が運動する試験室では、酸素濃度と、炭酸ガス(CO2)濃度も管理する必要が有ります。

この様な事を、全部考慮すると、本格的なトレッドミル室には、莫大な予算がかかります。特に酸素濃度の制御は、非常に高額になりますから、これらを全部装備した例は、過去に、1例しかありません。
ほとんどのトレッドミル室では、温湿度の制御の他は、人体送風機を設備する程度です。
温湿度の制御と、人体に当たる風の制御は、この様な目的の試験室では必須だと思います。
これ以外の、装備については、実験の目的、ご予算に応じて、必要な物を組込むようにしております。

トレッドミル室の実例

左がエルゴメータ、中央奥が人体送風機、下のベルトがトレッドミルです。ベルトの左右に点灯防止の手摺が見えています。ベルトの上は、輻射熱測定の黒球温度計です。
この天井には、陽光照明の設備が有り、直射日光下の疲労度も測定できます。

 
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