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試験室の安全対策

恒温恒湿室、環境試験室等の安全対策について解説します。

試験室の安全対策

恒温恒湿室、環境試験室等の加熱用の熱源には、主に電気ヒーターが使用されております。
電気ヒーターは、表面温度が数百度になる熱で加熱しますから、使用方法を誤ると、発煙、異臭、火災が発生する等の危険性が有ります。

また、低温室や恒温室以外では、加湿を行いますので、水道水を使用します。冷却器からはドレン水も出ますから、排水等にトラブルが発生して漏水すると、大きな問題になります。
特に、テナントのビルに設置する場合は、階下に漏水を嫌う業種が有ると、責任賠償問題になりますから、特に注意が必要です。

火災防止対策

加熱防止や火災防止の対策は重要ですから、加熱ヒーターは、写真の様にステンレスのBOXの中央に収納しており、不燃断熱の空調機パネル内に納められております。また、ヒーター周囲の配線には耐熱の電線を使用しております。
ヒーターの周囲に可燃物は有りません。ヒーターからの距離を取っていますので、万一送風が停止して、熱暴走する事故が発生したとしても、ヒーターはこの内部で焼き切れてしまいます。この様な事が無いように、ヒーター回路には、下記の様な3重の安全対策がされております。

制御的には、ヒーターには、3段階の遮断回路が有り、1段目は、温度調節計が、設定値より数℃高い温度を検出した場合や、設定温度を数℃低く設定した場合は、安全の為と、移行速度を早める為に、マグネットスイッチの機械的接点でヒーター回路を遮断しております。
落雷などで半導体電力調節器がショートしたとしても、確実にヒーターを遮断します。

2段目は、ヒーターBOXの内部の高い位置に、サーモスタットの検温管を挿入しています。
設定温度は可変としており、通常は安全装置の銘板を付けて、サーモスタット本体を、写真の様に制御盤に取付けしております。
運転条件に合わせて、非常停止する温度の設定を自由に変えられる様に、サーモスタットにはダイアルがあり、設定目盛りが記載されております。

安全装置のサーモスタットが異常温度を検出すると、ヒーター回路をマグネットスイッチの機械的な接点で遮断して、盤面の異常表示灯を点滅させて、警報ブザーを鳴動させます。
この異常が発生すると、警報状態はロックされて、運転は自動復帰しません。
1度スイッチを切って、異常な状況を確認しないと、再運転する事は出来ません。

サーモスタットは液膨張式を使用しております。長期間の使用で、万一液漏れが発生すると、動作点は低い方に移動します。サーモスタット不良で非常停止しなかった例は有りません。
故障すると、非常停止する温度が低くなりますので、言うなれば、安全な方向にずれます。

3段目は、ヒーター取付板に、121℃のペレット型温度ヒューズが取付けされております。
何らかの事情で安全装置のサーモスタットも働かなくなった場合に、温度ヒューズが溶断して、非常停止がかかります。この場合は、温度ヒューズの交換が必要です。
但し、実際に、温度ヒューズが溶断するまで温度が上昇した事例は有りません。

当然ですが、送風機が運転していなければ、ヒーターは働きませんし、運転停止させると、送風機が残留運転して、ヒーターを冷却してから、自動停止します。

これらの故障や異常が発生すると、制御盤内のシーケンサに記憶され、発生原因と発生回数は、停止させた後からでも確認する事ができます。

漏水対策

給水管から水漏れするのは、工事ミスで論外ですが、弊社のDPC方式の水槽や、CSC方式の加湿器の水槽には、ボールタップが使用されております。
このボール内に浸水したり、ボールが外れたり、パッキンに異物が噛み込んだり、パッキンが老化すると、給水が止まらなくなります。

また、空調機内部の冷却コイルからは、結露したドレン水がポタポタと落ちています。
弊社の加湿器は、運転中に洗浄している関係で、定時的に数ℓの温水も排出されます。

排水口の詰まり等が発生すると、この水がドレンポットに貯まり、排水が出来なくなると、空調機からあふれ出す事が有ります。この様なトラブルは、過去に数例発生しています。
この為に、試験室の空調機を設置する場所の近くの床に、排水口をお願いしております。
排水配管が細くて長いと、藻などの発生により排水速度が遅くなり、空調機の脇に漏水が見られる様なトラブルになります。排水配管は、40A程度の太さの配管としてください。

空調機の排水配管を、どうせドレンだから、エアコンと同じだろうと、階下の天井裏に有る排水配管に接続されてしまった例が有ります。エアコンは、ボタボタと落ちる程度の排水量ですが、空調機は、水槽の冷却水置換や、加湿器の洗浄等で、一度に数ℓの排水が行われますから、試運転で、階下の天井から漏水しました。階下の天井にあるエアコンの排水配管に接続する事は出来ません。

空調機には、排水配管を通して、臭気や、虫の侵入を防ぐために、排水管に写真の様なトラップが取付けされております。ここでは、他の排水と1ヶ所の排水口を共用する為に、ホッパーを取付けて、間接排水としています。
このトラップも、詰まりが発生し易いので、定期点検する等、注意が必要です。

ドレンアップボンプ

床に排水口が無い場合は、やむを得ず、写真の様なドレンアップポンプを使用します。
やむを得ずと記載したのは、ドレンアップボンプの故障発生率は、経験的に多く、ポンプが故障すると、突然、大量の水が空調機の床に流れ出します。
2階以上に空調機を設置した場合、漏水は、階下に流れ込みますから、テナントですと、大変な問題になります。

弊社が、できるだけ床排水を希望するのは、ポンプから満水の異常信号が出ないで、ポンプか停止した事例が過去に数件有り、この様なトラブルが実際に発生しているからです。

やむを得ず、ドレンアップボンプを使用する場合は、安全対策として、空調機の周囲には、漏水検知帯を設置して、ドレンアップポンプの故障信号や、実際に漏水が検知されたら、給水弁と、空調機の運転を停止させる様にしています。
ドレンアップポンプを使用する場合は、漏水検知器を、セットで設置する必要が有ります。

 
 
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