
恒温恒湿室のエアコンの入替え
ご相談いただければ、
ベストな方法をアドバイスいたします。
恒温恒湿室のエアコンの入替え
恒温恒湿室の空調機として、パッケージエアコンを使用している業者は多く有り、現場でも良く見かけます。
パッケージエアコンは、一般空調用ですが、夏季に23℃の室温を得るには、能力的には何ら問題は有りません。
エアコンは定価が高く、仕入価格はかなり安いので、業者の利益は大きく、定価を見せてお値引すれば、お客様も喜びますから、恒温恒湿室には良くエアコンが使用されております。
冷房専用のエアコンに、市販のヒーターを組み込み、市販の加湿器を取り付けて、制御盤の業者にシステムに有った制御盤を依頼すれば、簡単に恒温恒湿室用の空調機が出来ます。
利益が大きいので、エアコンを使用した恒温恒湿室を宣伝している業者も有ります。この様な業者は、売るだけで、なかなか修理に来てくれないと言う相談も有ります。
工場や事務所を新設する時に、建築会社に、この中に恒温恒湿室を入れたいと依頼すると、当然その建物の空調工事を行っている業者に依頼します。すると一般空調業者ですから、お得意の機械室にパッケージエアコンと加湿器を置き、空調ダクトで隣のお部屋とつなぎ、出入口の脇に制御盤を設置する構造になります。
建築業者に依頼すると、何故か、申し合わせた様にこの形になります。建物の新築時に同時に作られた恒温恒湿室では、ほとんどがこの様な構造です。
パッケージエアコン方式の欠点
冷房専用のエアコンは、夏季の昼間だけ使用する物です。コンプレッサはON-OFFさせている例も有り、年間の稼働率は低いのですが、恒温恒湿室に使用すると、年間連続運転している例が多くなります。エアコンメーカーでは想定していない外気温の低い冬季でも、連続で冷房運転する事になります。年間の運転時間がかなり異なりますので、故障も増えます。
汎用品ですから、モデルチェンジも有り、古くなると補修部品も無くなりますから、故障すると、部品交換が出来なくなり、本体を新型に入替える事が必要になる場合が有ります。
また、3.75kW(5馬力)以下の能力の小さなパッケージエアコンは現在販売されておりませんので、エアコン方式のメーカーは、小さな恒温恒湿室でも、3.75kWのエアコンを使用しています。能力制御できないので省エネにならず、大きな物でも能力は2段切替程度です。
恒温恒湿室では、外気の温湿度が低い冬季でも、連続で冷却除湿運転させていますから、冬季は再加熱するヒーターと、加湿器の稼働率が、非常に高くなります。
この方式はPID方式と呼ばれおり、精度の高い方式ですが、一定量の冷却除湿をしてから、設定した温湿度でバランスする様に、加熱と加湿を行います。この為に、消費電力が大きく、特に冷却除湿する必要の無い冬季にも、一定量の冷却除湿をしますから、冬季の消費電力が夏季より大きくなる欠点も有ります。
インバータエアコンとの交換
パッケージエアコン方式の恒温恒湿室では、高額な電気料金と加湿器の故障に悩まれて、何とか省エネで、故障の少ない装置に改造できないかと、相談される事が良く有ります。
弊社では、独自のDPC方式や、CSC方式との交換をお薦めしていたのですが、空調機のサイズが違いますし、制御方法も違いますので、制御盤の交換も必要で、極端に電気料金は下がりますが、総入替になりますので、解体費、設備費には、かなりのご予算が必要です。
現在はパッケージエアコンもインバータ化されましたので、能力制御が出来る様になりました。この場合は、エアコンのサイズがあまり変わりませんので、あまり現場で加工しなくても、既存のエアコンと、新型エアコンは、そのまま入替が可能です。
下の左の図は、良く恒温恒湿室に使用されている、古いダイキンのパッケージエアコンです。
右は、弊社で改造に使用している三菱のインバータエアコンで、能力は同等の16馬力です。外形は、数センチしか違いませんので、ほとんどの場合、ダクト等も再利用可能です。

制御盤は全交換すれば、故障時は保証の対象になりますが、改造費用を抑える為に、現場で制御盤の内部の計装部分だけを組み替えて、再利用している場合も有ります。
調節計等の電子部品は、平均的に十数年の寿命ですが、ブレーカやマグネットは、無理をしていなければ故障しませんので、半導体部品だけ交換して、この方法を取る事も有ります。
エアコンの交換は、ご相談いただければ、ベストな方法をアドバイスいたします。少なくとも、故障したからと、同じ形式のエアコンと入れ替える必要は全く有りません。これでは、消費電力は以前と変わりませんので、費用の無駄遣いになります。
実際にこの様な空調設備を弊社で改造したり、空調機を入替えた実績は多く有ります。
皆様が極端に電気料金が下がったのに驚かれ、加湿器の稼働率が下がるので、ほとんど故障しなくなる事にも驚かれています。
特に、費用は掛かりますが、エアコン方式を弊社DPC方式や、CSC方式に入れ替えた場合は、消費電力が1/5~1/6に削減された例が多く有ります。
年間の電気料金は200万円以上下がる例も有り、入替にかかった費用は、数年の電気料金の差で回収が出来てしまいます。
その後の修理費も極端に少なくなりますから、この方法も大変喜ばれております。
この省エネ化した実績の資料は、ホームページの省エネの項目で公開しておりますので、ご参照下さい。