
メンテナンスフリー
空調機においてよくあるトラブルや、
弊社の対策を紹介します。
メンテナンスフリー
現在、メンテナンスフリーと呼べる空調機は、どこのメーカーにも存在しません。
フィルタの目詰まり
空気を循環させている以上、吸込口にあるエアーフィルタの目詰まりは、当然発生します。
写真の様に、簡単に目視、点検清掃が出来る様に、工夫はしておりますが、このフィルタの点検清掃だけは、絶対に必要です。
ロール状のフィルタを巻き取って目詰まりを防止する方法も有りますが、長持ちするだけで、逆にロール交換時の手間が、かなり大きくなります。

吸込口のフィルタは定期的に、この吸込グリルを開いて、電気掃除機で清掃したり、フィルタを水洗すれば、目詰まりは防止する事が出来ます。
吸込口の内側にあるフィルタはアルミ枠に収まったフィレドンフィルタですから、内部の濾材だけを交換する事も出来ます。
汚れが激しい場合は、アルミ枠ごと新品と交換してしまった方が、簡単で、それほど費用も掛かりません。
加湿器のトラブル
一般的な空調機で1番故障率の高い物は、加湿器になります。工場内に純水の設備が有れば長持ちしますが、純水が無い場合は、加湿器はいずれ半年~数年で故障します。加湿器の故障率は、空調機の故障原因の95%以上になります。
加湿器には軟水が必要で、井戸水や、工業用水は使用出来ません。飲用の水道水は、軟水と思っていましたが、地域によっては、加湿器の故障が6ヵ月程度の短期間で発生するので、調べた所、この様な地域では、水道局の原水が井戸水混合であったり、原水が全て井戸水の場所が有り、この様な地域で加湿器の故障が多発する事が判明しました。
水道水が軟水であっても、蒸発出来ないミネラル分は含まれておりますから、どの様な形式の加湿器であっても、いずれ加湿水は濃縮され、固形物 (スケール) となって蓄積します。
これが加湿ヒーターに付着すると、熱交換を阻害して、温度ヒューズが切れたり、ヒーターにピンホールが開いて漏電する故障が発生します。
加湿器を使用する以上、空調機は絶対に、メンテナンスフリーにはなりません。
加湿器の故障率の高さをメーカーに相談すると、純水器を薦められます。純水器を使用すると、加湿器の故障率はかなり低下しますが、このスケールは、今度は、純水器の中に蓄積しますから、こちらの保守費の方が高くつきます。これでは解決方法とは言えません。
これらのトラブルは、技術資料の中の、加湿器のトラブルと純水器の項目で詳しく説明しておりますので、こちらをご参照下さい。
冷凍機のトラブル
冷凍機は屋外に設置されますので、長い期間で、汚れて来るとトラブルになります。
一番多いのは、冷凍機の裏側にある自動車のラジエターの様な放熱器 (コンデンサ)の目詰まりです。屋上等に設置した場合は、トラブルが少ないのですが、地上の花壇や活け込み等に設置した場合は、草や枯葉、蜘蛛の巣、虫の死骸等が目詰まりする原因になります。

左の写真は、地上に大小の冷凍機を設置した例です。整地しており、今は何も有りませんが、数年後には、草に埋もれてしまう例も有ります。
この冷凍機の周囲の通風を確保する事と、裏側に有るコンデンサが目詰まりしない様に清掃すれば、冷凍機の故障は、あまり発生しません。
夏季の午後に異常停止するのは、多くの場合、コンデンサの詰まりによる放熱不良です。
冷凍機は、屋外に設置する設計ですから、ホースによる水洗が可能です。異常停止しても、冷凍機を水洗すれば、ほとんどの場合は、電源を入れなおせば、運転復帰します。
その他の故障
空調機の故障は以上の3点で、98%になり、この他の故障発生は非常に少ないと言えます。この3点の故障が有る為に、空調機は完全なメンテナンスフリーにはなりません。
これ以外の故障では、湿度センサのドリフトが有りますが、これは製品によるバラツキが大きく、全く変化しない物も有ります。ドリフトは補正が出来ますので、正確な測定器で、測定した結果や、定期点検で誤差の確認ができれば、湿度の指示値は補正が出来ます。
10年以上経過すると、半導体部品の故障が出る場合が有ります。発生率は非常に少ないのですが、調節計、インバータ、シーケンサ等は、突然故障が発生する場合が有ります。
半導体部品が不良の場合は、修理費が高額になり、修理しても年数的に他の部分が再故障する可能性が高いので、修理には出さず、無条件で新品と交換しております。
メンテナンスフリーに近づける弊社の対策
空調機の故障の大半は、加湿器によるものです。加湿器が無ければ、かなりの故障は削減されますので、ほぼメンテナンスフリーの空調機になります。
弊社で独自に開発したDPC方式の空調機には、加湿器が有りません。冷水で除湿加湿する構造ですから、夏季は多湿の外気を精密に除湿するだけで、水道水も消費しません。
冬季は、冷水加湿ですから、水を沸騰させていません。水中のミネラル分は固形化し難く、冷却水は自動置換しておりますので、冷却水のミネラル濃度も上昇しません。
この空調機は、10年以上の無故障記録が良く有り、最高記録は、21年間無故障と言う記録が2件有る程、トラブルの少ない空調機です。加湿器が無いと、後は、吸込口のフィルタの点検と、冷凍機の定期清掃だけで、ほとんど故障しません。但し、この作業が有る為に、メンテナンスフリーとは言えず、ほぼメンテナンスフリーとの表示になっております。
DPC方式のメンテナンスは、空調機内部の水洗だけですから、下の写真の様に、お客様でも簡単に行えます。この洗浄用のノズルキットは、標準で空調機内部に付属しております。

水槽内部の洗浄

散水状態確認用窓

散水部の洗浄
このDPC方式の詳細は、別途技術資料の中で、特に詳しく説明しておりますので、こちらをご参照下さい。
加湿器のトラブルを減少させる弊社の対策
DPC方式は、水で直接空調する関係で、低温低湿の運転は出来ません。18℃以下の運転や、20℃でも、45%以下の湿度では、水温が下がり過ぎて、冷却水が凍結してしまうからです。
幅広く、いろいろな温湿度で実験されたい場合は、加湿器を使用するCSC方法になります。
CSC方式は、冷却、加熱、除湿、加湿の4信号を比較演算して、極めて高精度で省エネな運転を行う、弊社独自の方式です。
加湿器を使用する以上、加湿器のトラブルからは逃げられませんが、弊社では、2台の加湿器を運転中に、湿度を乱さずに交互に洗浄する事で、故障の発生率を削減させております。
また、低温低湿運転や、夏季の恒温恒湿室の運転範囲では、加湿器を停止させ、、除湿制御するだけでも、極めて安定した温湿度が得られます。また、移行速度が非常に速い方式です。
冬季は、必要最小の除湿しかしないので、必要最小の加湿しか行いません。とても省エネな運転を行います。CSC方式は加湿器の稼働率がとても低いので、故障も少なくなります。
加湿器の故障防止対策は、どのメーカーでも悩んでおり、100%の防止策は有りません。
いずれは必ず故障します。CSC方式は、加湿器が1台故障しても、残りの1台だけで、湿度条件はバックアップできますから、故障しても、実験はそのまま継続ができます。
また、加湿器の交換も、お客様でも簡単に行える様な構造にしております。

この写真は、加湿器を空調機の中から取り出した所です。
この様に、給水バルブを閉じて、スパナで給水の銅管を取り外せば、ケーブルを付けたままで、本体を取り出せます。
簡単に取出せますから、お客様でも、清掃や、温度ヒューズの交換が出来ます。ケーブルを端子台から外せば、新品交換も直ぐに出来ます。
加湿器は、長持ちさせているだけで、いずれは故障します。弊社では、加湿器の在庫は常に持っており、即日の配送が可能です。故障した翌日には、お客様が交換された例も有ります。いろいろ工夫しても、空調機はメンテナンスフリーにはなりませんが、トラブル防止策で、この様な対策を行っておりますので、特に遠方のお客様には喜ばれております。
このCSC方式の詳細は、別途技術資料の中で、特に詳しく説明しておりますので、こちらをご参照下さい。