
断熱パネル製の試験室天井の耐荷重
天井パネルの耐荷重や構造について解説します。
断熱パネル製の試験室天井の耐荷重
試験室の床の耐荷重の問い合わせは良く有りますので、これらは、断熱パネルの仕様の項目で、詳細に説明しております。断熱パネル本体の仕様は、こちらを参照されて下さい。
恒温恒湿室の天井に人が乗れるかとか、天井上を物置としたいが、何kg迄なら乗せられるかとの問い合わせが来る事も有りますので、天井に関しては、下記にまとめました。
恒温恒湿室の様に、常温常湿域で使用される断熱パネルの厚みは、42mmで、冷蔵庫等は50mm、温度範囲の広い環境試験室や、冷凍庫等では、その温度域により、75mmや、100mmの厚さのパネルが使用されております。当然、パネルが厚い程、しなりには強くなります。
断熱パネルは、0.4mmの2枚のカラー鋼板の間に、硬質ウレタンを注入発泡した物です。中身は硬質ウレタンですが、両面の鉄板は簡単に伸び縮みしません。
42mmの厚みは、見た感じは、かなり頼りなく、軽いパネルですが、しなり等の強度は非常に強いパネルです。柱の無いプレハブ構造でも、大きなお部屋を作る事が出来ます。
断熱パネルの規格は、900の幅で、長さは、4500程度迄製作可能ですが、あまり長いと、設置場所迄、搬入が出来なくなりますし、天井がしなり、中央が低くなりますので、一般的には、天井パネルは2500~3000程度として、これをH鋼で補強して対応しております。
基本的に柱の無い構造ですから、天井パネルの重みは、全て壁のパネルにかかります。
組みあげた試験室の天井の一次的な最大荷重は、1枚当たり100kg程度と言われており、当然、この重さでは、しなりますが、折れる事は無く、荷重が無くなれば、元に戻ります。
照明の取付けや、ダクト工事の時には、天井に2~3名が乗りますが、この程度で有れば、特に問題は有りません。但し、点荷重には弱く、細くて重い物を乗せますと、表面は0.4mmの鉄板ですから、乗せた部分が凹む事があり、凹んでしまうと、元には戻らなくなります。
パネルの周囲には、構造材の樹脂枠が有りますから、周囲は強い構造です。天井パネルが、壁パネルの上に乗る部分の耐荷重は特に強く、パネルの中央部では、弱くなります。
この様な構造の為、天井上でエアコン室内機の交換をする等、重量物を取り扱う場合は、足場板を、壁パネルの上に乗る様に置いて作業をすると安心です。
工事中に、天井の上に、人と重量の有る電線の束等を乗せる例は有りますが、長期間重量物を乗せていた例は無く、天井を物置に出来るかは、前例が無いのでお答えできません。
但し、10~20kg程度の物や、軽くて大きな物は、乗せている現場が有ります。
天井パネルをあまり長くすると、長い間には真中が下って来ますから、広い試験室では、天井パネルを2500程度の長さに区分して、補強のアルミH鋼の下で接続しております。
広い試験室では、柱無しのプレハブ構造の施工ですと、壁に荷重がかかり過ぎ、強度的に無理が有りますから、H鋼を、建物の天井から、ボルトで吊らせていだいております。
下の写真は、天井上のアルミH鋼と天井吊りボルトです。ボルトは、既設の天井板を抜き、建物のコンクリートにアンカーを打ち込み、ここからボルトで吊っております。
天井のパネルは、このH鋼に、専用の部材を使用して、ボルトで固定しております。

工場等では、コンクリートの天井が無い例が多く、この場合は、建物の天井の骨組みから、写真の様に、ポルトで吊らせていただいております。このボルトに天井全体の荷重がかかる訳ではなく、垂れ下がり防止と、地震等、万一の場合に倒壊を防止する為の、保険的な意味での施工になります。
