
静電気の防止方法
冬季のクリーンルームや恒温室等で発生する静電気ついて防止方法を紹介します。
静電気の防止方法
静電気の発生
冬季のクリーンルームや、恒温室等では、室内に静電気が発生して困っていると言うお話を良く聞きます。
静電気が発生すると、精密天秤等で、粉体を測定する場合、粉が舞ったり、あちこちに貼り付いたりしますので、不安定になり、測定ができない等の影響が出ます。また、半導体製品を扱う場合は、静電気の高電圧によるスパークで、半導体を壊してしまう可能性も有ります。
この為、静電防止服を着用したり、徐電器 (イオナイザー) 等、色々な静電グッズを使用ししたりして、静電気の発生を防止しています。
この静電気の発生で悩まれているクリーンルームや恒温室でも、夏季は静電気が発生しておりません。一般的な恒温恒湿室の23℃/50%RHの条件であれば、冬季も静電気は発生しません。何故なのでしょうか?
冬季に静電気が発生する試験室には、共通して、欠点が有るのです。それは、室内が極端な低湿度になっているからです。
湿度制御の出来ない恒温室や、エアコンにヘパフィルタを取付けただけの簡易的なクリーンルームでは、冬季に静電気が発生するのは当然なのです。
加湿器を取付している試験室でも、加湿器は故障が多く、保守費もかかるので、加湿器を故障したまま放置して、恒温恒湿室を、やむなく、ただの恒温室として使用している場合が良く有ります。この様な場合も、冬季は低湿度になり、静電気に悩まされています。
静電気は、低温になるほど、湿度が低くなるほど発生し易くなり、20℃以下で、40%以下になると、発生し易くなり、20%以下になると、かなり強烈にあちこちで発生します。
恒温室や、クリーンルームの空調制御方式には、PID方式が採用されています。
この方式は、夏季の気象条件と室内の発熱量で、エアコンの冷房能力を計算します。このエアコンを、冬季でも運転したままで、ヒーター加熱を行い、温度のバランスを取る方法がPID方式です。
冷却してから、加熱すると、除湿しますが、このPID方法は、空気の乾燥している冬季でも、さらに除湿してしまうので、室内がカラカラに乾燥してしまうのです。
極端な低湿度は、健康的にも問題が有ります。
冬季の外気条件は、10℃/30%程度の事は良く有ります。この時に、この空気を加熱して、温度だけ23℃迄上げると、相対湿度は自然に低下して、15%程度になります。
この時の露点温度は、-5℃程度で、エアコンの蒸発温度より低いので、エアコンが働いていても、ヒーターの負担を増やすだけで、熱負荷が無ければ、全く無駄な仕事をしています。たまたま、外気の温湿度が高い日でも、夏季と同じだけ冷却除湿をしますから、湿度は30%以下に低下して、冬季の室内は、カラカラになります。
しかも除湿する必要が無い季節なのに、PID方式では冷却除湿していますから、全く必要の無い無駄な電気料金を支払いながら、室内をわざわざ低湿度にして、静電気を発生させて、悩む結果になっています。
静電気の防止
恒温恒湿室の仕様で、23℃/50%の条件が保持されていれば、冬季でも静電気の心配は全く有りません。
皆様が悩まれている静電気発生の解決方法は簡単です。湿度を制御して、40%以上の条件にしてやれば、簡単に解決してしまいます。静電気防止のイオナイザーは必要有りません。
乾いた空気は絶縁体です。良く水は電気を通すと言いますが、純粋な水も絶縁体です。
湿度の有る空気が、室内の絶縁体に接触すると、絶縁体の表面は汚れておりますから、ここに接触した水分は純水では無くなり、微量の電気を流します。ですから、40%以上の湿度が有れば、静電気は絶縁体に留まる事が出来ません。電気抵抗が少し有れば、弱い電流が流れて、中和してしまいます。空気が乾いていると、電気抵抗が高くなり、絶縁物に静電気が溜まりやすくなるのです。
空気の乾燥した冬季は、ドアノブに触ると、指先から火花が出て、電撃に驚く事が有ります。
人体はプラスに帯電し易い性質が有り、マイナスに帯電し易い、ポリエステル、アクリル、等の繊維の服を着ていると、摩擦で体がプラスに帯電しますから、ドアノブ等、アースに繋がっている金属に指先で触れると、先端から火花が出て、強い痛みを感じる事になります。
これを防止するには、プラスに帯電し易いウール、ナイロン、レーヨンの繊維の服を着用して、下着に木綿を着用すれば、人体との摩擦で、静電気は発生し難くなります。
また、一度電撃が有った場合は、その衣服を着用していれば、その日は、何回でも電撃を受ける事になります。これを避ける為には、金属ノブに触る前に電気を流し難いコンクリートの壁等に先に触れて、弱い電流で静電気を逃がしてから、ドアノブに触れば、電撃を受ける事は有りません。金属は、電気抵抗が低く、一気に電流が流れるので、身体に帯電していると大きな痛みを感じますが、壁等は抵抗が大きいので、一気に電流は流れないので、電撃は感じないわけです。
静電気の発生で困っている場合は、まず、湿度を40%以上に上げる事を考慮されて下さい。
現在、静電気の発生で困られている場合は、ご相談下さい。既存の空調機を、調湿可能な空調機に改造したり、お部屋だけ再利用して、空調設備を最新の省エネな装置に交換する事も出来ます。
弊社には、精度が高く、消費電力が少なくて、湿度制御出来るDPC方式と、CSC方式の2機種の空調機が有ります。
これらの詳細は、ホームページの技術資料で公開しておりますので、参考にされて下さい。