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加熱ヒーター

試験室で用いられる
加熱ヒーターについて解説します。

加熱ヒーター

試験室の空調方式

恒温恒湿室や、環境試験室の空調方式は、PID方式が主流です。まず冷却してから、設定温度迄ヒーターで加熱を行い、設定された温度で保持させる方法です。冷却して加熱すると、相対湿度が下りますから、一般的には、加湿器で加湿して、設定湿度を得ております。この為、冬季の消費電力が大きくなります。

加湿器は、電気ヒーターで水道水を蒸発さていますが、水中のカルシウム等は、蒸発しない為に、加湿器内に蓄積します。これをスケールと呼んでいますが、加湿器は、これが原因で故障が多発します。
加湿器は試験室に於ける最大のトラブルメーカーです。

弊社には加湿器を使用しない独自のDPC方式も有りますから、恒温恒湿室の加湿器でお困りの場合は、ホームページに有るDPC方式をご参照下さい。

蒸気加熱と電気加熱

加熱する熱源は、蒸気と電気ヒーターのどちらかが使用されます。大きな工場では、工場内に蒸気が回っておりますので、この蒸気を使用して加熱する例や、蒸気を直接吹出して加湿している例も有ります。
蒸気方式は、減圧弁、蒸気コイル、電動弁等、配管や設備がかなり複雑になりますから、運転コストは安くなりますが、設備費が高額になり、故障も起きるので、古くなると高額な保守費がかかります。
この為に、蒸気加熱方式を、省エネ制御の電気ヒーター方式と入れ替える例も出て来ております。

恒温恒湿室等は、学校や研究所等に設置する場合が多く、ここには蒸気配管は有りませんので、必然的に電気ヒーター加熱と、電気ヒーターでお湯を沸かす加湿器の使用が一般的になります。
蒸気方式と比較すると、電気ヒーター方式は非常に簡単にできますから、設備費が安くて、保守費もかかりません。但し、蒸気方式と比較すると、一般的な方式では、電気代が少し高額になる欠点が有ります。

弊社の空調方式は、必要以上に冷却しないので、従来のPID方式と比較すると、電気ヒーターと加湿器の稼働率が非常に少なくなります。電気料金は、従来の1/3~1/6に減少する実績があります。
他社製の従来のPID方式の空調機を、弊社のDPC方式やCSC方式に入れ替えすると、極端に消費電力が減少します。この実績は、ホームページの省エネの項目で公開しておりますので、ご参照下さい。

ここで言う、DPC方式と、CSC方式は、弊社独自の省エネ方式で、他社にこの名称は有りません。
これらは、ホームページの恒温恒湿室の項目で、詳細に説明しておりますので、ご参照下さい。

経済的と言われる蒸気加熱方式でも、弊社方式の空調機に入れ替えると、蒸気加熱のPID方式よりも、全体で見ると、使用するエネルギー量は極端に少なくなります。結果的には、蒸気加熱式を電気加熱方式に入れ替えても、保守費を含めた運転経費全体で見ると、かなりの得策になります。

この為、蒸気配管設備が古くなって故障すると、修理費がとても高額になるので、これを機会に、設備の保守費がほとんどかからない、電気ヒーター方式に交換される例や、工場内に蒸気が有っても、あえて最初から、省エネな弊社の電気ヒーター方式を選択されて、空調設備を新設される例も有ります。

電気ヒーター加熱方式

弊社の空調機は、空調機の内部に、ステンレス外装のU字型シーズヒーターを組込んでおります。
U字型のヒーターは、端子が片側なので、配線や交換が簡単です。
加湿器は空調機の内部に2台組み込んでおります。加湿ヒーターは水中なので、それほど表面温度は上がらないので、熱伝導率の高い、銅管にメッキをしたシーズヒーターを使用しております。

弊社のCSC方式の制御は、必要最小限の冷却と除湿しかしないシステムですから、電気ヒーターと加湿器の稼働率は従来のPID方式の制御方式より大幅に低くなります。この方法は、省エネになるだけでなく、ヒーターの表面温度が低くなるので、ヒーターの寿命がとても長くなります。

電気ヒーターの発熱効率は、どの様なヒーターでも、必ず100%です。
100Vのヒーターの電力計算は非常に簡単で、オームの法則により、V×I=Wで、電圧×電流です。
100Vで10A流れていたとしたら、100×10=1000で、1kWになります。
このヒーターの抵抗値は、V=R×Iの式から、R=V÷Iになり、100V÷10A=10Ωになります。

ネットでは、怪しいと言うか、デタラメな広告がはびこり、省エネチップの搭載によりとか、効率の良いヒーターで、1日の電気代が10円とか、1ヶ月の消費電力が1kWとか、とんでもない大嘘がまかり通っています。これは、絶対にあり得ない話なのです。どの様なヒーターでも、効率は100%で、電圧×電流分だけしか、絶対に発熱しません。省エネチップや、効率の良いヒーター等は、絶対に存在しません。
ご興味の有る方は、技術資料の、ネット広告の嘘の項目をご参照下さい。くれぐれも悪徳業者に騙されない様にしていただきたいと思います。

弊社で使用しているヒーターは、3種類で、1kW, 1.5kW, 2kWのU字形ヒーターです。これを組み合わせて、下記の表の様に、必要な電力を得ています。
最大電力は、1ユニット12kWの組み合わせです。この容量迄なら部品の価格が安く、安価にシステムが構築できます。大きな空調機では、12kW×2にして、24kWにする等、12kWのヒーターユニットを複数台使用する事で、大電力のヒーター容量でも、制御盤は安価に制作する事が出来ます。
ヒーターが複数あると、1ユニットが漏電しても、そのユニットだけ止めれば、修理する迄は、残ったヒーターだけで運転が継続出来るメリットもあります。

加湿器には、3kW, 4kW, 6kWのユニットヒーターを使用しております。加湿器は2台を併用しておりますから、1台当たりの必要電力は少なくなるので、定格電力の半分程度に下げて使用しております。
この対策と、運転中に湿度を乱さない交互洗浄により、加湿器の故障は、かなり少なくなっております。

空調機の電源には、三相AC200Vの動力電源を使用しております。単相の場合は、電力Wを求める式は単純に、電圧200V×線電流Aで求められます。

規格が不明のヒーターの電力を知りたい時は、抵抗値を測定して、V2/R=Wから、40000÷測定した抵抗値でも、そのヒーターの電力が判ります。
弊社で使用しているヒーターを単相で使用すると電流値と抵抗値は、下記の表の様になります。

弊社では、この3種類のヒーターを、数本組み合わせして、下記の表の様に、Δ(デルタ)結線にして使用しております。

加湿器の場合は、3kW、 4kW、 6kWにあらかじめ組まれたユニットのヒーターを使用しております。

三相Δ結線のヒーターの電力が不明の場合は、電流を測り、測定電流値×200V×1.73で、消費電力が計算できます。ヒーターは力率100%ですから、発熱する電力量は、消費電力と同じです。

現場に有る空調機のヒーターの銘板に、ヒーター電力の記載が有れば、その電力×3で、大まかに流れる電流が推測できます。たとえば、6kWなら、3を掛ければ18Aになり、正確に計算した値の17.3Aの近似値になります。これを覚えておくと現場で役立ちます。これより電流が少なければ、断線したヒーターが有る事になります。

ちなみに、モーターは、馬力×3で、実際に流れる電流の近似値が判ります。1馬力なら、1×3 = 3Aで大まかに電流値が判り、モーターに電力が表示されているなら、電力×4で概算電流になります。
0.75kWなら、0.75×4で、3Aになり、大まかな電流値が判ります。
ヒーターは力率が100%で、モーターには無効電力が有り、力率が少し落ちるので、掛け率が異なり、ヒーターは掛け率が3で、モーターは掛け率が4に替わります。
この二つは、覚えていれば、現場で役立ちます。覚えておいて損は無い知識だと思います。

また、Δ接続のヒーターの1相が切れると、電力は2/3になりますが、そのまま運転が出来ます。
但し、モーターの場合は、1相が切れると、単相運転になりますから、モーターは回転する事が出来ず、極端に大きな電流が流れて、ブレーカーやサーマルリレーが落ちる事故になります。

Δ接続のヒーターを、Y接続に接続を変更すると、電力は1/3になります。
単相のヒーターを直列に接続すると、電力は1/4になります。
電気ヒーターは、モーターと異なり、大きな突入電流は流れません。使用するブレーカーと電力調節器の選定は、ヒーターの定格電流より少し大きければ問題ありません。

ヒーターの電源電圧は、定格より10%上がると、電流も増えます。電力は、電圧×電流ですから、定格電力より20%も上がり、表面温度が高くなるので、寿命が半分になると言われています。
電源電圧が220V近く有る現場は、時々有りますから、弊社では、ヒーターの最大電力は、定格電力の90%以下で働く様に抑えております。実際の運転制御時には、稼働率が更に下がりますから、ヒーターの表面温度は、かなり低くなります。
この為、弊社の空調方式では、長期間ヒーターが断線する等のトラブルは発生しておりません。

但し、加湿器内部のヒーターには、蒸発出来ないミネラル分の蓄積問題(スケール付着)が有ります。
どのメーカーの、いかなる方法の加湿器でも、加湿器の故障を完全に防止する事は出来ていません。

弊社では、余裕の有る2台の加湿器を空調機内に組込み、稼働率を下げ、運転中に湿度を乱さずに交互洗浄させる事で、トラブルを防止しております。これが、現在考えられる最良の対策方法だと思います。

これら弊社方式の加湿方式の詳細は、技術資料の加湿器のトラブルと純水器の項目をご参照下さい。

弊社のCSC方式には、制御盤内にヒーターや加湿器の電力を絞る為の手動のボリウムが有ります。
ボリウムを絞ると、バランスを取る為に、自動的に冷凍機の冷却と除湿能力が絞られます。

この為、ヒーターと加湿器の最大電力を、条件が得られる必要最小限度近くに絞ると、省エネな装置の消費電力を、更に大幅に削減する事が出来ます。

この結果、空調能力が制御できない他社の従来の方式と比較すると、1/3~1/6の消費電力に低下して、省エネになります。各機器の稼働率が低くなるので、故障率も低くなっています。

年間の電気料金が数百万円の装置が、改造すると数十万円になり、故障が少なくなりますので、経費もかからなくなります。お客様は大変驚かれて、もっと早く改造すれば良かったと言われます。

他社製の空調機を改造、あるいは交換して、実際に得た省エネ結果の実績は、ホームページの省エネの項目で詳細に公開しております。こちらも、ぜひご参照下さい。

 
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