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設備電力と消費電力

恒温恒湿室や環境試験室の設備電力と消費電力について解説します。

設備電力と消費電力

試験室の設置に必要な電源

恒温恒湿室や環境試験室は、家のお部屋に有る100Vのコンセントや、エアコン用200Vの単相のコンセントでは働きません。200Vの動力電源が有ると言われて、調べに行ったら、単相の200Vであった事も有ります。
試験室の設置には、動力と呼ばれる、三相の200V電源が絶対に必要です。

設備電力

空調に使われる三相交流の送風機や冷凍機には効率(力率)が有り、実際に流れる電流と消費電力は一致しません。
効率が75%だとすると、カタログで1馬力(0.75kW)のモーターの消費電力は、750Wで、これは有効電力と呼ばれます。実際に流れる電流は、効率が75%ですから、見かけ上では1kW分の電流が流れます。25%分は、無効電力と呼ばれ、電流は流れていますが、仕事はしないで発電所に戻ります。無効電力は、電流は流れますが、電気料金はかかりません。

無効電力は、モーター等の誘導コイルに交流を流すと、電圧と電流に位相差が出る為に発生します。ヒーターや加湿器はただの抵抗体ですから、位相差は無く、効率は100%です。

有効電力と無効電力を合計した物が、皮相電力と呼ばれ、この場合は、1kVAと言う単位で表記されます。試験室を設置する建物の動力分電盤の電源容量は、何kVAで表記され、消費電力より少し大きな容量になります。試験室の設備電力の大小が、分電盤のブレーカの容量や、電線の太さの基準になります。

試験室を導入するに当たり、社内に三相交流の電源が有るか、仕様書に表記されているkVA分の電力が取れるかを、社内の電気係に相談して、この容量の電源が無い場合は、動力電源を増設する必要が有ります。

建物の契約電力は、出来るだけ少ない方が電気の基本料金が安くなります。また、設備電力は、使用する機器の合計電力ですから、全部合計すると、かなり大きな値になります。
実際に各機器が100%で全部同時に稼働する事は少ないので、実際の設備電力は、この合計電力に稼働率をかけて算出します。
電気係によっては、配線図を見て、全てが同時に働いた時の合計電力にしないとおかしいと言う意見も良く出ます。
説明しても反論されますので、取りあえず、仕様書の設備電力は、各機器の定格電力の総合の値としています。

弊社の空調機は、全ての機器が最大電力では働らいていないので、実際に運転すると、この様な大電力は絶対に流れません。
この為、仕様書には、別途に弊社制御盤の主幹のブレーカの容量も記載しております。
建物の動力分電盤に、このブレーカ容量以上の余裕が有れば、試験室は設置できます。

消費電力

弊社の空調機の送風量は、風量調節のダンパーで機械的には絞らずに、インバータで絞るのが標準装備です。その時の運転条件により、最適な風量になる様に自動可変させております。
冷凍機は、必要最小限の冷却になる様に比例制御しており、ON-OFFさせておりません。
起動時の大きな突入電流も流れません。また、設定条件に対して、必要最小限の量しか冷却除湿を行いませんので、バランスさせるヒーターと加湿器の稼働率も少なくなります。
加湿器は、稼働率が低ければ、故障も少なくなります。
弊社の制御はヒーターの電力が最大になると、冷却能力は最小に、冷却能力が最大になると、ヒーター電力は最小の 0 になります。絶対に全部合計した最大電流は流れないのです。

これが、弊社の装置が、従来の装置と比較して、とても消費電力が少なくなる理由です。

別の資料で、群を抜く省エネ性能として、他社の装置を省エネに改造した資料も公開しておりますので、ご参照下さい。
それでも、こんな極端な省エネ性能は、多くのメーカーが有る中で、とても有り得ないし、信じられない、これは捏造した資料ではないかと疑うお客様もおられます。

そこで、この省エネ性と精度を実際に見て頂く為に、省エネ性能と高い安定性を実証できるショールームを川口工場で公開しております。

何時でも運転が可能ですから、見学のご希望が有ればご案内します。

電力計が装備されており、風速計、騒音計等も用意できます。

(レンタルとしてご利用もできます。)

弊社は、お見積時の仕様書では、設備電力はkVAとしており、単純に各機器の最大電力を加算した、合計の皮相電力と、理論上の最大電流値を表記しております。
他社で、kVAだけ表記されている仕様書の場合は、例えば10kVAだったとすると、これは、10000VAですから、三相交流の電流値は、10000÷200V÷√3 (1.732)で計算ができます。
この10kVAの電流値は、28.9Aになります。
(簡単に電流値を知りたい時は、KVA値に3を掛ければ、30Aで、近似値が判ります)

実際の消費電力

この様に、仕様書の設備電力は一般的な計算方法で示していますが、弊社の装置の実際の消費電力は、設定条件を得るのに必要最小の能力に絞って運転しております。
実際に消費する電力は、仕様書に表記されている設備電力とは、大きな差が出てきます。

また、弊社の装置は、制御盤内のボリウムで、運転条件に合わせて、更に省エネな運転状態に調節する事も出来ます。

他社装置の省エネ改造例

上の写真の左側は、他社製の装置を改造する前の写真で、19.8kWを消費しております。
右側は改造後の消費電力で、2.38kWに低下、実に1/8の消費電力に削減されています。
調節計と表示灯を交換し、表示灯の色を変えていますから、別の制御盤の様ですが、現地で制御盤を改造した物です。部品の配列を見ると制御盤は同じ物で有る事が判ります。
使用する部品と、制御方法を弊社DPC方式に変更しているだけです。

また、弊社のCSC方式の制御盤には、更に省エネ性能を最優先にする為に、精密運転と、省エネモードのスイッチが取付されております。
( DPC方式の装置は、とても省エネですからこの機能は有りません。)

省エネモードでは、夏は冷却除湿優先、冬季は過熱加湿優先の制御で、安定した運転を行いますが、春と秋は気候によって制御が切り替わるので、この時だけ制御性は少し低下します。
お客様から、夏は省エネモードで、非常に高い安定性を示していたのに、秋になったら、急に不安定になった、1年未満で、もう故障したのではないかとの苦情も出ました。

省エネモードは、無人になる夜間や休日等に、室内条件を大きく乱さない様に、省エネ運転させて、設定条件付近の温湿度を保持させておく為の機能です。

省エネモードは、年間を通しての仕様書の精度と、制御性を保証する物ではありません。

電源容量が足りない場合

動力電源の三相交流の分電盤にあまり余裕が無く、試験室は欲しいが、仕様書に記載された電力では、ちょっと足りないから困ったと言う場合が良く有ります。

電力の設備容量を上げるには、キュービクルの交換等、大きな費用がかかりますし、その後の基本料金も高額になります。
電力の余裕が少しだけ足らない場合は、ご相談いただければ、それに合わせた電力で空調機を設計する事も出来ます。

試験室で、大きな電力が必要なのは温湿度の移行時で、温湿度が安定してしまえば、あまり大きな電力は消費しません。
恒温恒湿室の様に、頻繁に温湿度を変えない試験室の場合は、移行速度を抑えれば、他社の製品よりはるかに少ない設備電力でも、安定した運転が可能な試験室を作る事が出来ます。

電気料金が高騰しておりますので、消費電力の削減は重要な問題で、同じ温湿度を得るのに、選択される装置によっては、年間の電気料金と、保守経費が百万円の単位で変わります。

 
 
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