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デシカント方式

デシカント方式の仕組みや注意点について解説します。

デシカント方式

いきなりデシカント方式と言われても、ほとんどの方は、何の事だかわからないと思います。
このページをご覧の方は、低湿度が必要になり、この方式にご興味が有る方だと思います。

デシカント方式は、シリカゲル等の吸湿材を含侵させたハニカム状のローターの一部に試験室内の風を流し、試験室中の水分は、ここに吸着させて、低湿度を得る為の装置です。
低温の空気でも除湿が出来るメリットが有り、除湿ローターが大きな、大型の機種を採用すけば、かなりの低湿度が得られます。

ローターの反対側には熱風を流して、シリカゲルを乾燥させて、熱風乾燥で高温多湿になった空気は、外部に捨てる構造になっております。これは、ちょっと勿体ない気がします。
この除湿ローターを回転させる事で、連続して除湿が行えます。

最大の欠点は、消費電力が非常に多い事で、かなり大きな電力のヒーターでシリカゲルを乾燥させて、多湿になった熱風は、そのままダクトで外部に捨ててしまっています。
熱風乾燥で熱くなったローターは、回転して室内側に回ってきますから、室内にもその熱が入って来ます。
低温運転の場合は、この侵入熱の為に冷えにくくなりますから、冷凍機の能力を1ランク上げる必要が出る場合が有ります。すると、ますます消費電力が大きくなります。

シリカゲルの除湿する速度は遅いので、低湿度に到達する迄の時間は長くかかります。この為、設定された湿度に移行して、設定値で湿度を安定に保つ様な事は出来ません。
たとえば、10℃/30%の湿度を得ようとして、デシカント方式の除湿器を運転した場合は、湿度が10%以下に下ってしまうので、30%になる迄、加湿してやる必要が有ります。
過度に除湿してから、再加湿するので、ここでも省エネには反する制御をしています。

一般的には、10℃の低温を得る為には、冷却コイルでは、-5℃程度の温度で冷媒を蒸発させています。
10℃/30%の時の露点温度は-6℃になりますから、30%以上の湿度を得ようとして加湿すると、、加湿した蒸気は、冷たい冷却コイルに触れて霜になり、やがて凍結してしまいます。

10℃で低湿度になった室内を、加湿器を使用して、30%以上の湿度に上げようとすると、冷却コイルに着霜して来るので、この様な装置では、連続運転する事が出来ません。
低温運転では、定時的な霜取りが必要になります。

とにかくできるだけ室内を低湿度にしたいと言う時には、冷却コイルの蒸発温度より、露点温度が低くなるまで除湿機で除湿すれば、冷却コイルに霜は付かなくなります。

たとえば、室内温度+10℃を得る為には、-5℃程度で冷媒を蒸発させますが、この時の相対湿度は、30%程度になります。そのまま運転を続ければ、必ず冷却コイルは着霜します。
この時、除湿機で、30%以下に湿度を落としてやれば、この時の露点温度は-6℃以下になりますから、-5℃で蒸発しているの冷却コイルには、着霜しなくなります。
これなら、連続運転しても、冷却コイルに霜は蓄積しない事になります。

デシカント方式は、この様に湿度は成り行きで、ただ低湿度になれば良いと言う場合は、有効な除湿方式になります。
この方式は、冷却コイルに霜が蓄積しないので、ノンデフロスト方式とも呼ばれております。
但し、ノンデフロスト方式の室内は、極端な低湿度になります。低温低湿度では、静電気が発生しますから、この対策が必要になります。
また、機械的な動作ですから故障も有り、独自の部品ですから、修理費用も高額になります。

環境試験室は運転範囲が広く、高温多湿で運転する場合も有りますから、除湿装置の入口と出口は、密閉性の高い電動ダンパーで、しっかりと閉鎖する必要が有ります。
除湿機を停止している時に、除湿機の方に高温多湿の空気が漏れ出すと、シリカゲルに吸着し過ぎて、ローターを損傷させます。
湿度は、どんな狭いスペースでも通り抜けますから、多湿運転を行う時は注意が必要です。
この外に、外気を取入する為のフィルタや、高温多湿になった空気を屋外に放出するダクトも必要ですから、除湿機の他に、このダンパーや排気設備にも高額な費用がかかります。

運転範囲が広い環境試験室では、湿度の精度、移行速度の速さ、省エネ性等が重要視されますから、弊社では、独自にデュアルコイル方式を開発しております。
デシカント方式から入替えたお客様や、除湿方式を弊社方式に変えて追加導入されたお客様は、比較対象が有りますから、移行速度の速さ、湿度の安定性には、大変驚かれます。
特に、必要以上に除湿しないので、加湿量も少なくなり、乾燥の為に大きなヒーターを使用しないので、消費電力は大幅に削減されています。
この極端な省エネ性能は、皆様が特に驚かれています。

ホームページの省エネの項目でも、他社製品を改造して、極端に省エネ化した実績を公開しております。
これらは環境試験室のページで詳細に説明しておりますので、こちらもご参照下さい。

 
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