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運転条件による空調方式の選定について

恒温恒湿室と環境試験室の違い、
適した空調機の選定方法について解説します。

運転条件による空調方式の選定について

恒温恒湿室と環境試験室の違い

一般的に、旧JISの20℃/65%RHや新JISの23℃/50%RH付近の、常温常湿で運転を行う試験室を恒温恒湿室と呼んでおります。標準試験室と言う呼び名も有ります。
常温常湿以外に、低温低湿運転や高温多湿運転等が出来る物を環境試験室と呼んで区別しております。
環境試験室は人工気象室と呼ぶ場合もあります。

恒温恒湿室専用の空調機では、20℃以下の運転や相対湿度40%以下の運転は難しくなります。
これはエアコンに18℃以下の目盛りが無いように、夏季に20℃以下や40%以下の運転をすると、冷却コイルの一部がマイナスの温度域になり、ここに霜が発生してしだいに霜が広がり、冷却コイルが雪ダルマの様になってしまうからです。霜取りの必要が無い恒温恒湿室の空調機として、汎用のパッケージエアコンを利用するメーカーは多く有ります。20~23℃の温度条件であれば、エアコンにヒーターと加湿器を組み合わせて、制御盤を取付すれば容易に恒温恒湿室を作る事が出来ます。

但しパッケージエアコンには小型の物が無いので、小さな恒温恒湿室を計画するとパッケージエアコンでは過剰設計になります。
これでは、省エネにはなりません。
パッケージエアコンのカタログの定価は高額ですが、実際に業界に流通している価格はとても安く、あまり長持ちしません。8年もすれば、補修部品も無くなります。定価の半分などと大幅に値下げされると得した気分になりますが、実はそれでも業者の利益は大きいのです。10年後には、本体の交換が必要になる機種も出ています。
購入するには価格が安い方を選定されるのは当然ですが、これらの機種は消費電力が大きいだけでなく、加湿器の稼働率が高いので故障も多発します。運転コストが非常に高くなるのですが、購入してからの高額な経費は私が支払うのではないから関係ないとの理由で無視され、購入価格だけを最優先で考慮して決定される事例が多く有ります。省エネな装置を選定されれば、1~2年の経費の差でイニシャルコストは回収できます。

弊社は、いずれの空調方式でもインバータ冷凍機を使用しております。
冷凍機は価格が高く、値引率も低いのですが、生鮮食料品等の保管等にも使用されますからこの信頼度は高く、エアコンとは比較になりません。10年を過ぎても、補修部品が手に入ります。試験室を導入される場合はこれらの点を考慮されて、消費電力が少なく、故障が少ない冷凍機を使用した機種を選定される事が、実は1番重要な選定基準になります。

霜取方法について

運転温湿度が20℃/40%以下の条件では、冷却コイルの一部がマイナスの温度になります。
連続運転すると、ここに霜が発生して、次第に霜が成長して来ます。熱交換面積が少なくなると、加速度的に霜は成長します。冷却コイルが雪ダルマになると風が流れなくなり、温湿度が乱れて来ます。20℃/40%以下の運転条件では、必ず霜取が必要になります。常温常湿で運転する恒温恒湿室専用機では霜取回路は不要ですが、運転温湿度の範囲の広い環境試験室では、絶対に何らかの霜取方式が必要になります。
環境試験室は、この霜取の方式によって価格が大きく変わってきます。
20℃以下の低温装置では、一般的な冷蔵庫の様に運転を休止して霜を取る装置が主流でしたが、この霜取方法では、霜取中に室内の温度と湿度が急上昇してしまうので、これでは低温低湿の試験室としては意味が無く、この様な装置は全く使い物になりません。

そこで弊社では、ダブルコイル方式、トリプルコイル方式、デュアルコイル方式等、お客様の使用目的に合わせた装置を開発して、要求される条件に一番適した空調機を選定して納入させていただいております。
空調機毎に、詳細に説明した資料が有ります。いずれの装置も過酷な条件で連続運転が出来ますから、とても喜ばれております。
高温多湿運転専用機の場合は、冷凍機の能力は少なく空調機本体の価格はさほど高くなりませんが、お部屋の床と扉の断熱が必要になります。さらに扉の結露や窓の曇りを防止するヒーター等が必要になりますから、高温多湿室は一般的な恒温恒湿室より、お部屋の方の価格だけが高くなります。

恒温恒湿室用の空調機

弊社の恒温恒湿室用の空調機には、DPC方式とCSC方式の二機種が有ります。
それぞれに特徴があり、いずれも特に省エネ性能に優れた空調機です。これらの方式は弊社独自の物で、他社にDPCだCSCだと言って問い合わせても、何の事か判りません。これらの空調機を簡単に説明しますが、個別に詳細な資料が有りますので、ご興味が有るお客様はこちらもご参照下さい。

お客様によっては、この実験に湿度はあまり関係ないだろうと、湿度制御の出来ない、ただの恒温室を希望される例も多く有ります。実際には、湿度はかなり実験結果に影響します。吸湿性の高い紙や繊維の試験には湿度は必須の項目ですが、金属でも錆の問題、樹脂や半導体では静電気の影響が出ます。他社の恒温室あるいは恒温恒湿室を使用中だが、加湿器のトラブルが多く、保守費用が高額なので加湿器を止めたが、意外に湿度が実験の結果に大きな影響が出る事が判明して、何とか故障の少ない空調機に改造あるいは交換ができないかとの相談が良く有ります。

この様なご要望が多いので、弊社は現在ほとんど湿度制御の出来ない恒温室の納入は有りません。最低でも湿度がモニター出来て、除湿側の制御が可能な恒温恒湿室になっております。価格的には、恒温室に湿度センサと湿度調節計、信号変換器を追加するだけですから、恒温室に35万円程度の金額の追加です。全体の予算からすればわずかの金額差で、湿度が管理できる恒温恒湿室になります。

この方法は、冬季は加湿器が有りませんので湿度が低くなりますが、必要以上に除湿しないので、従来の恒温室の様に冬季に室内が極端な低湿度にはなりません。健康面の影響も少なくなります。
このお話をすると、ほとんどのお客様はこの方式を希望されます。
この方式は、後日に加湿器を外付で追加すれば、それだけで冬季も湿度管理が出来る恒温恒湿室に簡単に改造する事が出来ます。
恒温恒湿室は価格が高いであろうから恒温室でも良いかとのご希望でも、わずかな追加費用で恒温恒湿室になりますから、お得なこの方式をぜひご検討下さい。

DPC方式

DPC方式は冷水で除湿加湿する方式で、トラブルの多い加湿器が有りません。
非常に故障の少ない空調で、10年以上の無故障記録が良く有る空調機です。
DPC方式の欠点は、比熱の高い水を利用する関係で精度の高い温湿度が得られますが、温湿度の移行速度は遅いので、いろいろな温湿度で実験したい場合には向きません。
年間を安定した温湿度で連続運転したい場合には、最適の空調機です。省エネ性は特に優れ、夏季は空気中の水分だけで運転しますから、夏季には水道水も消費しない究極の省エネ性を示します。井戸水でも運転が可能で、加湿器が無いので純水器等も必要ありません。

DPC方式の詳細な資料が有りますから、御希望の方は請求して下さい。

CSC方式

CSC方式は、加湿器を使用した一般的な空調方式を改良した物です。
弊社独自の特殊な制御方式で、従来の方式と比較すると、これもとても消費電力が少ない空調機です。
加湿器方式の最大の欠点は、水道水中のカルシウムなどのミネラル分は蒸発しないので、加湿器内部にこれが固形化して蓄積し、熱交換を阻害してトラブルを起こします。

弊社の空調機は内部に加湿器を2台持っており、運転中に交互に洗浄をしております。
運転中に加湿器を洗浄しても、片方の加湿器がバックアップしますから、室内の温湿度は全く乱れません。
自動洗浄によりスケールが固形化して蓄積する事を防止して、長期間加湿器のトラブルを防止しています。
加湿器はどうしても、何時かは故障します。この為に、加湿器の交換は簡単に出来る様に工夫しております。女性のお客様が御自分で交換された例も有ります。加湿器は恒温恒湿室に於ける最大のトラブルメーカーですから、弊社では常時在庫を持っております。
故障で交換したいとの連絡が有れば、即納が出来る体制を取っております。
加湿器の新品交換は、他社の加湿器のオーバーホール代よりもかなり安く、ご自分でも交換が出来ますから、特に地方のお客様に喜ばれております。

他社では、加湿器の故障が多発すると純水器を薦められます。純水の製造コストは非常に高く、とても不経済な空調機になります。また、純水器の高額なイオン交換樹脂の交換を怠ると、直ぐに加湿器が故障します。加湿器にお金をかけるか、純水にお金をかけるかですから、はっきり申し上げてこれは解決方法にはなりません。

弊社CSC方式の加湿器は、長持ちはしますが加湿器は消耗品です。いずれ交換が必要になります。交換の時期は、その地域の水道水の硬度によって大きく変わります。7年以上トラブルの無い場所も有りますが、水道水でも原水が井戸水等、硬度の高い場所では、正直な所、加湿器のトラブルは多発します。
弊社の加湿器は価格が安いのと、交換が簡単なので、2年程度の間隔で新品と交換しているお客様もおられます。
また交換した加湿器は、清掃すれば繰り返し再利用できます。
CSC方式は、加熱・冷却・加湿・除湿の4信号を、その運転条件に合わせて必要最小限に制御する方式です。消費電力は非常に少なく、従来のPID方式の1/4程度に低下している納入実績が有ります。

CSC方式の詳細な資料が有りますから、御希望の方は請求して下さい。

DCS方式

恒温恒湿室用の空調機では、低温運転や低湿度の運転等、冷却コイルが着霜する条件では連続運転する事が出来ません。そこで空調機の中に2台のコイルを設置して、電動ダンパーで切り替えて連続運転が出来る様にした装置がDCS (デュアルコイル)方式です。

使用中のコイルが着霜すると電動ダンパーで閉鎖して、新しい冷却コイルに切替て、連続運転します。閉鎖した凍結コイルは電気ヒーターでデフロストさせて、次に待機させます。これを繰返すのがデュアルコイル方式で、10℃/10%の低温低湿度運転等の実績が有ります。

ダブルコイル、トリプルコイル方式

4~5℃のプラスの温度域の低温運転や30~40%程度の低湿度の連続運転では、複数の冷却コイルを使用して1台ずつ冷媒を停止させて、冷却コイルの自動霜取りを行いながら、連続運転させている機種も有ります。構造は簡単ですから故障が少なく、制御の工夫により安定した低温や低湿度を、運転条件を乱すことなく連続で得ております。また室内の熱負荷が多い場合は、冷却コイルを4台にした機種も納入しております。

弊社には、この様に代表的な物でも各種の空調機が有りますので、お客様が希望される温湿度条件等によって空調方式を選定し、その目的に合わせて設計製作しております。規格品は有りません。
弊社では、全て使用目的に合わせて設計しております。

御希望が有ればこれらの詳細な資料も有りますので、請求して下さい。

 
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