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黒球温度

暑さ指数の算出に用いる黒球温度について解説します。

黒球温度

空調には、乾球温度、湿球温度、黒球温度、相対湿度等の言葉が出て来ます。
湿球温度の測定は、湿球側の水銀温度計に、ガーゼを巻き、蒸留水で湿らせた物に一定風速の風を当てて、気化熱で低下した温度で、これを湿球温度と呼んでいます。もう片方は、ただの温度計ですが、湿球温度と比較する為に、こちらは乾球温度と呼んでいます。

これは、右の様な、アスマンと呼ばれる計器に応用されており、乾球温度と、湿球温度の差を、換算表で見て、相対湿度を計測する物です。
経年変化が無いので、非常に正確ですが、ガーゼの管理が悪いと、湿球温度が下らず、プラスの誤差を発生します。原理上、マイナスの誤差は有りません。

安価な壁掛けの、赤い指示のアルコール温度計を2本使用した、乾湿球温湿度計も有りますが、これは、簡易型であり、湿球に当たる風が不安定なので、恒温恒湿室の湿度の精度の確認管理には使用出来ません。
但し、暑さ指数の測定では、人体に当たる風も影響しますから、あえて湿球には通風を行わず、自然気流による湿球温度としております。

一般の試験室では、断熱されたお部屋の中の温度と相対湿度だけを制御していますが、実際の外気条件では、太陽光による輻射熱も問題になります。
特に人間は、太陽光からの輻射熱や、風の影響も大きく受けます。これらを測定する基準に、温度、湿度、輻射熱、気流を考慮した、暑さ指数(WBGT)と呼ばれる指数が有ります。
最近問題になっている熱中症を防止する為の指標ですが、この内、輻射熱を測定するセンサが、右の様な、黒球温度計です。

黒球温度計は、直径15cm程度の薄い銅の球体に、ほとんど反射しない艶消しの黒い塗料を塗り、この中に温度計を入れるだけの物ですが、非常に高価です。
簡易的に実験する場合は、アルミ缶に黒の艶消塗装をして、中に温度センサを入れて測定すると、日光や近くに発熱体が有ると、通常の温度計とは違う高い温度が検出されるので、輻射熱が有る事が判ります。

体感温度は、気流によっても変わります。良く言われる、風速が1m/sec 強くなると、体感では、1℃低く感じると言う説も有ります。

熱中症指数計や、暑さ指数計と言う測定器が、比較的低価格で販売されておりますので、これらを測定する場合は、熱中症指数計を利用する方が、手軽で、良いと思います。

運動中に複写持つこれらの影響が有ると、疲労度が大きく変わりますので、実際に人を走らせて運動量を測るトレッドミル室では、温度、湿度、人体に風を当てる可変風速の送風機、太陽光を模した照明と黒球温度、酸素濃度等を変化して、測定しています。

気圧を変えられると理想的ですが、これを設計すると、試験室が潜水艦の様になりますので、装置の価格が非常に高くなります。実際には、室内の酸素濃度を目的とする高地の酸素濃度と同じ程度に低下させる事で、その代用をして、高地を模した試験を行っています。

 
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