
ボトムタイト扉
恒温恒湿室で使われるボトムタイト扉や、
その他の扉について解説します。
ボトムタイト扉
恒温恒湿室の仕様書を見ますと、ボトムタイト扉という名称が出て来ます。
メーカーの商品名で、一般的な扉には使われていない名称なので、どんな扉の事なのか、判らないと思います。
従来、恒温恒湿室は空調機の性能が悪かったので、床断熱は必須でした。現在は、設置場所がエアコンで空調されている例も多くなり、空調機の性能も良くなったので、常温常湿の恒温恒湿室では、床の断熱は不要です。標準の仕様では、断熱床は使用しておりません。
床断熱が無いと、バリアフリーになり、使い勝手が良くなりますが、床に扉の戸当たりが無いので、扉の下に隙間ができてしまい、ここから大量に空気漏れが生じます。
ここで使用するのが、扉の中にゴムのシャッターがあり、扉を閉めると、このシャッターが下がって、扉と床の隙間を閉鎖する機能を持った扉です。この扉をボトムタイトと呼んでいます。開閉する時には、ゴムは扉内に引き込まれますので、ゴムは床を引きずりません。
但し、この機能があると、扉の断熱性は悪くなるので、低温や高温多湿運転を行う環境試験室には使用できません。過酷な条件では、従来通り、床に断熱を行って、防熱扉を使用しています。
冷蔵庫などでは、扉の下にゴムを垂れ下げて、これを引きずって開閉する扉があります。
バリアフリーになりますから、台車に乗せた重い荷物の出し入れの多い冷蔵庫等では、この様な扉を使用しています。
低温試験室でも、バリアフリーにしたい場合は、この扉を使用しています。
業界用語では、ズリゴムと呼びますが、あまりきれいな言葉ではないので、弊社では、ゴムスカート方式と呼んでおります。
この様に、試験室には、3種類の扉がありますので、写真で説明します。

左の写真は、ボトムタイト式の扉です。
下部のアルミの部分から、扉を閉じた時だけゴム製のシャッターが下がって来て、閉鎖します。
開閉する時には、シャッターが上がり、ゴムは引きずりません。

左の写真は、防熱扉の例です。四方枠で、扉の周囲にはパッキンが入っております。
扉枠には結露や、凍結を防止する為のヒーターが組み込まれています。
また、窓には、透明の曇り防止のヒーターが入っています。

左の写真はズリゴム式 (下部ゴムスカート式)の扉の例です。
床はバリアフリーになりますが、開閉時には、ゴムのスカートを引きずります。
低温運転には対応できますが、高温多湿運転では、床やゴムに結露するので、この方式の扉は使用できません。