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自動交互洗浄式加湿器

専門用語をわかりやすく解説します。

自動交互洗浄式加湿器

加湿器のスケール問題

恒温恒湿室や、環境試験室の空調機で、最大のトラブルメーカーは、加湿器です。
加湿器は、水道水を沸騰させて行う、蒸気加湿方式が1番多く採用されております。
水道水の中には、カルシウム、マグネシウムと言ったミネラル分が含まれており、これは蒸発しないので、加湿器の中に必ず残ります。ヒーター周りでカチカチに固形化し、熱交換を阻害して、各種のトラブルを起こします。これを業界ではスケールと呼んでおります。

水道水は軟水と言われております。湖や川などから取水した水道水は、ミネラル分が少なく、加湿器のトラブルも少ないのですが、納入台数が増えて来ると、まったく同じ空調機なのに、何故か、長期間トラブルが発生しない現場と、半年程度でトラブルが発生する現場が出て来ました。当初は同じ水道水なのにどうしてだろうと、不思議に思っていました。

水道局と言っても、近くに水源が無い水道局では、井戸水が混合されたり、全部が井戸水の水道局も有り、地域によって水道水の硬度は、かなり異なる事が、その後に判明しました。
井戸水の混合率が高い程、蒸発出来ないミネラル分が多くなります。この様な地域では、水道水で有っても硬度が高く、納入した加湿器に、トラブルが多発する事が判りました。
加湿器の取説に、井戸水は使用不可と書いて有るのは、この水の硬度の高さが原因です。

パッケージエアコンを利用した空調機は、価格が安いので、各社から発売されております。これらの方式では、必ず加湿器を使用しております。水道水の硬度の高い地域にこの様な方式の空調機が納入されると、加湿器の故障が多発するので、悩まされる事になります。
パッケージエアコン方式は、夏季に必要な冷房能力で機種を選定して、その他の季節では、冷やし過ぎた分を、加熱ヒーターで補い、低下した湿度は加湿器で補う方法です。

この方式はPID方式と呼ばれており、現在でも主力の空調方式です。夏季の最大熱負荷を想定してエアコンを選定しますが、エアコンの冷房能力は固定ですから、冬季には当然冷却除湿が過剰になります。これで設定された温湿度を得る為には、冷やし過ぎた空気を再加熱する為のヒーターの大きな電力が必要で、必要の無い除湿をするので、大幅に低下した湿度を、再加湿して得る為に、加湿器の消費電力も大きくなってしまうのです。

エアコンにとって過酷な運転の夏季よりも、実は、冷却除湿する必要の無い冬季の方が、空調機の消費電力が大きくなります。普通に考えたら、何か変だなと思われる様な現象が、PID方式では、ごく普通に発生しています。

パッケージエアコン方式は、冬季の乾燥した季節でも、全く必要の無い除湿を行いますので、湿度を上げる為に、大量の加湿を行っています。
大量に加湿した蒸気は、冷却コイルに接触して除湿され、水滴に戻ります。エアコン等を冷却除湿に使用したPID方式は、全く除湿する必要の無い冬季でも除湿してしまうので、冷却コイルと排水パイプからは、常にポタポタと水が流れ落ちて来ます。
この排水は、まぎれもなく蒸留水なのです。

高価な蒸留水をどんどん製造して、ドレン排水として、そのまま下水に捨てているのです。PID方式は元々電気料金が高額な方式ですが、冬季になると、更に電気料金が高くなり、加湿器の故障も多発します。消費電力に対しての効率が非常に悪く、エネルギー的に、極めて無駄の多い空調装置だと言えます。

これらの状況は、技術資料の パッケージエアコン方式 で詳細に説明しておりますので、こちらをご参照下さい。

PID方式では、あまり加湿器の故障が多発するので、お客様が悩まれて、メーカーに相談しますと、必ず、純水器の取付を薦められます。
純水器を取付けすると、加湿器の故障は確かに減少します。但し、蒸発が出来ないミネラル分は、今度は、純水器の中に溜まる事になります。
純水器には処理できる量が有り、これが意外に少ないのです。短期間で除湿機内部のイオン交換樹脂が飽和しまから、定期的に樹脂の交換が必要になります。
これにも、高額な交換費用がかかります。

この方法は、蒸発しないミネラル分が、加湿器の中に貯まるか、純水器の中に貯まるかの差であって、純水器を使用しても、今度は純水器のイオン交換樹脂の保守に、高額な費用がかるだけなのです。いずれの方法を採用しても、高額な保守費用は変わらないので、これは解決策ではありません。
多発する加湿器のトラブルについては、加湿器のトラブルと純水器の項目で、詳しく説明しておりますので、こちらをご参照下さい。

加湿器のトラブル防止方法は、定期的に加湿器をオーバーホールするか、純水器を採用するかの、二選択しかありません。
いずれを選択しても、高額な年間保守費がかかる事には変わりが有りません。

加湿器を採用する場合は、純水を使用する事は理想です。しかし社内に純水を持たれている企業様は少なく、多くの場合は、カートリッヂ式の純水器を使用する事になります。
すると、定期的な樹脂の交換が必要で、高額な保守費がかかってしまうのです。

せっかく恒温恒湿室を導入したのに、とても高額な電力料金と、加湿器の故障に悩まされ、あまにも保守に経費が掛かるので、びっくりされて、加湿器を停止させて、恒温恒湿室を、ただの恒温室として使用されているお客様は、実は、良くお見受けするのです。

弊社には、加湿器を使用しないDPC方式と呼ぶ空調機が有ります。冷水で冷却除湿して、冬季は冷水で加湿しています。無駄が無く、精度、省エネ、故障の少なさで定評の有る装置です。夏季には空気中にある多湿の水分を、精密に除湿する運転なので、基本的に水道水を一滴も消費しません。冬季は必要以上には加湿しないので、一滴のドレンも発生しません。

恒温恒湿室をご希望の場合は、ぜひDPC方式をご検討下さい。恒温恒湿室の資料の中で、詳しく説明しております。

DPC方式は、加湿器の様に水を沸騰させないので、井戸水や工業用水でも運転が可能です。。但し、DPC方式にも欠点は有り、低温や低湿度の運転は、冷却水が凍結してしまうので、残念ながら連続運転は出来ません。
また、換気量が多い場合や、室内発熱が多い場合も、冷水だけでは冷やしきれません。

温湿度の低い条件や、高温多湿、熱負荷が多い場合では、弊社は独自のCSC方式をお薦めしております。この方式は一般的な空調と同じで、冷却コイルと加湿器を使用しています。
但し、CSC方式は、どの様な温湿度条件でも、安定した制御を行うのに必要な量だけしか冷却除湿しないので、加熱ヒーターと加湿器の稼働率は、とても低くなっております。

幅広い温湿度で運転を希望されるお客様は、弊社独自のCSC方式の環境試験室をご検討下さい。こちらは、環境試験室の項目で、詳細に説明しております。

これらの空調方式の省エネ性にご興味が有る場合は、他社の装置を改造して省エネにした実資料も公開しておりますので、ぜひ、ご参照下さい。

CSC方式は、従来のPID方式と同じで、水を沸騰させて加湿しています。必要以上に除湿しないので、加湿量はかなり少なくなりますが、この方式でも、長期間加湿器を使用すれば、加湿器の中に、必ず、蒸発出来ないミネラル分が、固形化して残ります。

通常、蒸気発生式の加湿器を採用する時は、下記の様な問題を考慮する必要が有ります。

  • 定時的に加湿器を洗浄するだけでは、スケールの蓄積は、完全に防止できません。
  • 加湿器を運転中に洗浄すると、加湿が停止するので、室内の湿度は急激に低下します。
  • 加湿水が沸騰すると、急激に加湿を開始するので、大きなオーバーシュートが発生します。
  • 沸騰水をそのまま排水すると、塩ビの排水管では熱で変形して漏水する原因になります。
    建物の塩ビ排水管には、加湿器の熱湯排水は流せません。塩ビが変形して漏水します。
    耐熱塩ビか鋼管の排水配管に替えるか、冷却タンクを取付けて、冷却してから排水する必要が有ります。

弊社はこれらの加湿に関する諸問題を、長年研究して来ました。この結果、水道料金は比較的安価なので、自動洗浄を繰返し行っても、運転経費は1番少なくなる事が判明しました。
それでも、自動洗浄だけで、完全に故障を防止する事は出来ません。そこで、弊社では、2台の加湿器を使用して、運転中に湿度を乱さない様に、交互に洗浄する事が、現時点では、最良の方式で有ると考えました。下記が、弊社が行う自動交互洗浄方式加湿器の概略です。
現在、これと同じ機能を持つ空調機は、他には有りません。

自動交互洗浄式加湿器とは

弊社のCSC方式の空調機の内部には、必要な能力の2倍程度の大き目な加湿器を2台収納しております。通常は、省エネな制御方式で、2台を極めて軽く運転させておりますから、これだけでも、スケールの蓄積は、かなり少なくなっています。

2台の加湿器を、運転中に定時的に、交互に洗浄しております。洗浄中は片方の加湿器の加湿は当然停止しますが、この間は残る1台が補佐しますから、湿度は全く乱れません。
また、湿度が乱れそうならば、自動的に除湿量を制御して安定化させる機能も有りますから、オーバーシュートも発生しません。多湿の条件で洗浄しても、室内の湿度は乱れません。

沸騰水は、空調機内で冷却してから排水しますから、排水管に直接熱湯は排出されません。
弊社の空調機は、塩ビの排水管でも、直接空調機から加湿器の排水を排水口に流せます。

加湿器は、どの様な対策をしても、トラブルが多い部品です。そこで、故障したら、いかに早く、簡単に新品と交換か、修理済みの予備品と交換できるかを前提に考えました。
弊社の加湿器の価格はとても安いので、他社の加湿器のオーバーホール代よりも、はるかに安く新品と交換ができます。

後の写真で見られる様に、実に簡素で安価な加湿器ですが、温湿度の制御性は特に工夫されております。加湿量だけでなく、除湿量も同時に制御しておりますから、加湿器立ち上がり時や、設定湿度を高く変更した時に良く起きるオーバーシュートも発生しません。
どんな温湿度条件でも、非常に高い制御性を示しています。

加湿器2台の交互洗浄方式は、片方の加湿器が故障しても、残る1台が補佐しますので、そのまま実験は続行可能です。故障しても、修理する迄、実験を休止する必要は有りません。
また、CSC方式は、外気より低湿度の条件では、加湿器を停止させて、精密に除湿制御する事で、安定した湿度条件が得られます。加湿器を使用しなければ、この分の電力が不要ですから、とても省エネになります。加湿器を停止すれば、加湿器故障の発生率も低下します。

加湿器のトラブル対策は、ここまで考えても現在は皆無には出来ていません。そこで加湿器の交換は、出来るだけ簡単に、どなたでも出来る様に工夫しております。
加湿器はどう対策してもトラブルが多いので、弊社では、常に在庫を持っております。即日の発送が可能で、電話をいただければ、その日に発送が可能です。
翌日には到着して、お客様がご自身か、あるいは工務課に依頼して、即日交換されて、もう無事に稼働していますと、お礼の報告をされる例も有ります。加湿器の交換はとても簡単なので、女性の担当者が、こちらからの電話指示だけで交換された例も有ります。

自社で交換されるなら、請求額は、他社より安い加湿器本体の価格と、送料だけで済みます。
翌日には、簡単に新品と交換ができますから、他社製品よりも、かなり早く、安く修理が出来ます。この方法は、特に遠方のお客様には、経費が掛からず、交換も簡単に出来るので、大変喜ばれております。
この様に、加湿器が1台故障しても、湿度は乱れずにそのまま運転が可能で、故障した翌日には交換が出来て、正常に再稼働する様な事例は、他社方式では、まず無いと思います。

加湿器は言い換えれば、ただの湯沸かし器です。それでも修理に加湿器メーカーを呼べば、交通費、出張費、技術料、部品代がかかります。特に市販されていないオリジナルの部品が使用されている場合の価格はかなり高く設定されております。修理メーカーは、これだけで生計を立てている訳ですから、修理費か高額なのは、仕方の無い事です。

加湿器の修理を依頼すると、想定された以上に高額な請求書が来るので、皆様が驚かれます。
1番の問題は、加湿器が故障すると湿度の制御ができなくなり、修理が済む迄は、湿度条件の有る実験は、出来なくなる事です。

下の写真は、6kWの加湿器を2台使用した交互洗浄方式の1例です。

加湿器本体は、この様に、空調機内部の加湿器収納ボックスの中に置いて有るだけです。
加湿器は固定しておらず、ゴム足で収納ボックスの床に貼り付いています。

手前に見えている給水の2本の銅パイプを取り外せば、加湿器は簡単に空調機の外に取り出せます。電源のケーブルは取り外さなくても、加湿器内部の清掃ができます。

黒いケーブルが2本見えますが、電線は、ヒーター回路3本と、安全装置の2本だけです。
このボックスの下には、加湿器専用の端子台があり、ここで5個の端子を外せば、ケーブルを付けたまま、完全に加湿器は空調機から切り離せます。

新品の加湿器と交換する作業は、この逆の手順です。お送りする加湿器には端子を取付けて発送しておりますから、そのまま元の状態に戻すだけです。
この方法であれば、初めての方でも、30分程度で、新品と交換が出来てしまいます。
交換に必要な工具は、+ドライバーと、2本のモンキーレンチか、スパナセットだけです。

この方法なら、お客様ご自身でも、加湿器を交換する事が出来そうな気がしませんか ?

下の写真は小型の空調機の3kW加湿器本体の写真です。

新品の状態、自動洗浄で1年使用、洗浄無しで半年使用

弊社CSC方式は、運転中に2台の加湿器を交互に洗浄しておりますから、洗浄時も湿度は乱れません。また、1台が故障しても、残りの1台で湿度条件が保持できます。

左側は、自動交互洗浄方式で3~4年程度使用した加湿器です。

右側は、回収した加湿器のスケールを削り取ってオーバーホールした物です。メッキは一部剥げておりますが、使用上問題は有りません。

オーバーホールした加湿器を保管しておけば、次に加湿器が故障した時には、これと簡単に入れ替える等が出来ます。自社で交換が出来れば、その後の交換費用は掛かりません。これが1番経済的な加湿器保守の方法になると思いま。

加湿器はトラブルメーカーで、長時間運転すれば、必ず故障します。弊社は、この方法が現在考えられる最善の方法であると考えています。

この自動交互洗浄方式は、弊社独自の方式です。

現在、他にはこの様な洗浄方式は有りません。

 
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