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試験室の明るさ

明るさの推奨値や、照明器具の特性について解説します。

試験室の明るさ

明るさ示す単位には、照度(ルクス)、光度(カンデラ)、光束(ルーメン)等の単位が有りますが、一般的に、お部屋の明るさを表現するには、ルクス(lx)が使用されています。

照度は、2010年にJISで公表された推奨値が有り、事務所、設計室、製図室等の照度は、750lx が推奨されております。また、手術室、細かい図形を見分ける作業では、1500lxが推奨されておりますが、これらは、規制では無く、あくまで推奨値とされております。

この外に、照度は、労働安全基準が有り、2022年の改定では、一般的な事務作業で300lxになっております。、こちらは基準ですから、作業環境として、最低限、これ以上に明るくする必要が有ります。
改定前は、普通の事務作業が150lxで、精密作業が300lxでした。時代と共に、作業場の明るさの基準が大きく変わり、現在の基準は、かなり明るくなっております。

それでも労働安全基準値とJISの推奨値とは大きな差が有ります。近年に新築した現場以外の古い建物では、JIS推奨値の750lxの明るさになっている事務所は、ほとんど見ません。
一般的には、皆様が従来の基準の作業場の明るさに慣れているので、試験室内を750lx以上の照度にすると、この部屋の照明は、随分明るいなあと、驚かれる事も有ります。

この照度は、机上とされておりますから、実際の照度計算では、天井に蛍光灯型のLEDの照明器具を取付け、お部屋の中央の床上70cmの机上が、750lx~900lx程度の明るさになる様に照度計算をして、取付する照明器具の台数を決定しております。

この為、現在納入している試験室の照度は、全て、JISの推奨値に合わせて、800~900lx程度になっております。
従来の事務所の明るさの経験からすると、これはかなり明るく感じられる照度です。
試験室内で、特に精密な作業をされる場合は、お客様のご希望で、1000lx以上にしている例も有ります。

以前の照明器具は、蛍光灯でしたから、室内温度で照度が大きく変わり、温度が上がると、どんどん明るくなり、寿命が極端に短くなりました。また、低温になる程どんどん暗くなり、マイナスの温度域では、点灯しない事も有りました。LEDはあまり照度が変わりません。
やむなく、当時は、温度可変範囲の広い環境試験室の照明は、低温と高温時は、白熱電球に切り替えていましたが、現在は白熱電球も生産停止になっております。

LED照明器具の仕様書によると、使用温度は、5~35℃とされております。近年の夏季は40℃になる事も有りますから、エアコンが無いと、この様な高温状態で、連続点灯すると LED照明は、寿命に影響が出る様です。

環境試験室の温度範囲は、低温から高温迄、かなり幅広いので、LED照明器具の仕様からは、完全に、しかも大幅に外れてしまいます。
しかし人が入る試験室では、極端な温度で長時間入室する事は無く、長時間照明を点灯している様な例はほとんどありません。実際には、+60℃でも点灯できますし、-30℃でも点灯します。短時間の点灯であれば、故障例も有りません。
また、LED照明は、蛍光灯の様に、温度で極端に明るさが変化する様には感じません。

現在市販されている照明器具のカタログを調べると、環境試験室の様に、広い温度域で使用出来る仕様の照明器具は有りません。
そこで、極端な高温で照明が必要な場合は、照明専用の窓を必要な場所に取付して、試験室の外側に取付した照明器具から、間接的に室内を照明する様な方法を取っています。

お部屋の広さと高さで、必要な照明器具の台数が変わります。試験室は、アイボリーの鋼板で囲われており、反射率も高いので、室内はかなり明るく感じます。
試験室は建物の中に設置する関係で、高さは、2200~2400H程度が多く有ります。
参考までに、お部屋の天井を2400Hと仮定して、広さと、照明台数の関係を見て見ますと、概ね、下記の様になります。

3,000×2,000×2,400Hのお部屋の例、 照明器具2台で、820lx
5,000×4,000×2,400Hのお部屋の例、 照明器具5台で、850lx
5,000×6,000×2,400Hのお部屋の例、 照明器具7台で、850lx
6,000×8,000×2,400Hのお部屋の例、 照明器具10台で、820lx
10,000×10,000×2,400Hのお部屋の例、照明器具20台で、800lx

これで、ご計画のお部屋には、何灯くらいの照明器具が必要になるかが判ると思います。
実際には、四角いお部屋に、奇数の照明器具はバランスが悪いので、偶数にしております。
すると小さいお部屋では、700lxになったり、1000lxになったりしますので、後は、お部屋の中で行う作業によって、明るさは、照明器具の数で調整させていただいております。
実際には、700lxでも、従来の事務所等の明るさと比較すると、かなり明るく感じます。

明るくしたい場合は、標準品の照明器具であれば、価格も安いので、、その器具を追加する照器具代と、取付工事の費用の差が発生するだけで、数万円の追加程度です。
従来の蛍光灯に比べると、LEDは消費電力が少ないので、電気料金は安くなります。

スイッチを2系統にして、作業内容で点灯数を替えて、明るさを調整する事も出来ます。
ボリウムで、明るさを調整出来る照明器具も有りますが、これは少し高価になります。

LED照明は、蛍光灯と異なり、寿命が長く、経年変化による照度の低下も少なく、温度による明るさの変化が無く、チラつきも無く、消費電力が少なく、照明器具の中に、かなり高熱になる安定器が無いので、照明器具本体から発生する熱がとても少ない等のメリットが有ります。

 
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