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室内熱負荷について

実際よりも過剰な熱負荷を想定して
設計された試験室を多く見かけます。
では正しい熱負荷はどう計算するのか、解説します。

室内熱負荷について

試験室を計画するに当たり、お部屋の広さと温湿度条件、室内の人員、室内で発生する熱量は、設計に絶対に必要な項目になります。
特に試験室では室内で発生する熱量が重要になり、これを熱負荷と呼んでおります。

一般的に試験室の営業マンの技量不足も有り、お客様に室内で使用される機器全ての定格電力を全部合計してもらい、これを熱負荷としている例が実に多く有ります。
熱負荷を過剰に考えると、当然これを冷却する冷凍機は大きくなります。冷凍機は低温になるほど能力は低くなりますから、必要以上に低温を要求する事も冷凍機が大きくなる原因になります。発熱が大きくて低温を要求したら、冷凍機は大きくなるのは当然です。

問題なのは、これとバランスを取る為の加熱ヒーターの電力も大きくなります。低温が出せる試験室で常温常湿の試験を行うと、通常の恒温恒湿室と比較すると極端に消費電力が大きくなりますから、電気料金に悩まされる事になります。冷凍機が大きいと、常温の運転なのに霜取りが必要になる様な馬鹿げた装置も目にします。

恒温恒湿室でも、お部屋に対して何でこんなに空調機の能力が大きいのか疑問になって仕様書を調べると、設計当初の室内熱負荷がかなり大きい事が有ります。これらは室内に有る全ての機器の定格電力を合計して、業者に空調機を依頼している為に発生します。
弊社でも、かなり大きな熱負荷の依頼が有りますので室内で何をするのか聞いてみると、この様に全ての機器の定格電力を合計してしまっている例が多く有ります。

たとえば電気炉ですと、定格電流が流れるのは加熱上昇時だけです。温度が上がれば、ヒーター電力は減少します。保温されていますから、実際には大きな熱量は表に出ません。モーターを使用した引っ張り試験機や圧縮試験機でも、試験機に電流が流れるのは圧力を加えている時だけです。
また、試験機の定格は最大時ですし、起動電流が有りますからブレーカも大きめです。これを総合計すると、とんでもない過剰設計になるのです。実際にこの様に熱負荷を計算している例は良く見ます。

試験室にはいろいろな測定器が入りますが、全てが同時に最大電力になる事はまず無いと思います。実際の電流値が測定できれば一番簡単なのですが、計画の段階ではそれも出来ません。
そこで、稼働率として0.3~0.5を掛ける等して、実際の試験中の消費電力を推測して計算しています。

先日も、小さな恒温恒湿室なのに熱負荷が5kWと言うお話が有り聞いてみると、使用する予定の試験機に定格5kWの銘板が有るし、30Aのコンセントに接続されていると銘板の写真が送られて来ました。
試験機のメーカーに問い合わせると、この電力を使用するのは数秒で、起動電流が有るから電源は20A以上を要求しているが、機械の外側に発熱はほとんど無いとの事でした。メーカーに確認しないでこのまま空調機を設計すると、お部屋に対して過剰な設備になり、かなり無駄な電力を消費する事になり、年間の電気料金が大幅に上昇する所でした。

実際の発熱量は、定格電力に稼働率を掛ける必要が有り。これを熱負荷としています。

 
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