試験室の御計画から納入設置までの流れ

業務の内容により、安定な温湿度条件での実験が必要になった時に計画されるのが恒温恒湿室で、低温低湿や、高温多湿運転等の条件の場合は、環境試験室の導入が計画されます。
弊社では、運転可能な温度と湿度の範囲で、恒温恒湿室と、環境試験室に呼び名を変えております。
恒温恒湿室は、DPC方式、環境試験室には、CSC方式をお薦めしております。2機種とも、独自の開発製品で、省エネで精度が高く、故障の少ない方式です。
これらの方式の詳細は、別のページで説明しておりますので、こちらをご参照ください。

よくある質問で、坪当たり幾らかと聞かれます。弊社には規格品は無く、お客様のご希望をお聞きしてから、ご希望内容に合わせて最小限のご予算で設計しますから、御希望される仕様の条件により、価格は大幅に異なります。
まずメールで問い合わせをして下さい。弊社の試験室に価格表は有りません。

ご計画するに当たり、最初に必要になるのは、やはりご予算になると思います。見積依頼のページが有りますから、まず遠慮せずに、希望する下記の仕様を連絡して見積依頼をされて下さい。見積を依頼するには、まず、最低限でも、下記の項目が必要です。

見積依頼に必要な条件

会社名とご担当者、メールアドレス (代理店様の場合は、某所でも可)
設置場所　(何県何町程度でも可)
お部屋の広さと高さ(何M×何M×何MH程度)　同じ坪数でも高さで価格が変わります。
運転希望される温度と湿度の条件、環境試験室の場合は、その温湿度の可変範囲
想定される室内の発熱量　(熱負荷)
人員数　(常時入室している人の数、時々入る人は数えません。)

最低限、この程度の情報が無いと、お見積が出来ません。ご予算が、お見積金額に近ければ、その後、扉のサイズ、窓のサイズと数、コンセント数、冷凍機 (室外機)の設置場所等をご相談して、お見積を修正します。

見積依頼時の注意点

運転条件範囲

お見積金額は、お部屋の広さ(容積)だけで無く、温湿度の運転範囲で、大きく金額が変わります。良く有りますのが、温度 -30℃～+80℃で、湿度10～95%と言う条件です。
どのような実験に使われるのかお聞きすると、どうせ試験室を導入するなら、運転範囲は広い方が良いから、とのお答えです。
はっきり申し上げて、小さな試験槽ならともかく、人の入る試験室では、過酷過ぎて、おそらくお考えになっている御予算では、絶対に出来ません。

40℃/85%以上のお部屋には、人は入れませんよとお話すると、いや、私は80℃のサウナに入れると反論されます。それは湿度が低いからで、湿度が低ければ、私は150℃の部屋にも入室した事が有ります。40℃/85%のお部屋に入れない理由は、この条件の露点温度は、37℃になるからです。この中で呼吸すると、人間の体温は36℃ですから、肺の中に結露して、水が溜まります。この部屋に入室すると、その瞬間に、鼻の中で、ゴボゴボと音がします。

温湿度の範囲を広く取るほど、加速度的にご予算は増えます。見積依頼は、絶対に必要な条件に絞らないと、実現が不可能になり、弊社も見積に苦労するだけの結果になります。
極端な仕様のお見積を提出しても、金額が高くなり、ご注文いただく事は、まず有りません。
まず、必要最小限の仕様で考えて見積を取り、想定されたご予算の金額の方が上なら、仕様を再検討されて、欲張る様にして下さい。

運転精度

一般的に、±1℃／±2%が標準です。実際には、弊社はこれよりはるかに高い精度を得ております。温度側の仕様は、±0.5℃で納入している例も有ります。湿度は、湿度センサの特性で決まりますので、精度は±2パーセントですが、安定性は、±0.5%以内になります。
精度をもっと落として良いから、安くならないかとのご相談も良く有りますが、精度を落としても、使用する部品は変わらないので、価格は変わりません。精度の高さはサービスです。

室内の発熱 (熱負荷)

室内の機器発熱を、業界では熱負荷と呼んでいます。お部屋の中に入れる機器の消費電力の総合計ですが、これが大き過ぎると思われるご依頼が、実に良く有ります。

他社が納入した試験室の空調機が、お部屋の広さと運転条件にしてはかなり大きい場合が良く有るのです。これは、室内で使用する機器のカタログの設備電力を全て加算してしまった結果です。実際には、消費電力がずっと少ない場合が良くあるのです。

圧縮試験機の様に、圧縮する短時間しか大きな電力を消費しない物があったりします。室内の全ての機器が一斉に最大の電力で連続して動く事は、まず無いと思います。この様な場合は、稼働率をかけて計算して下さい。
空調機が必要以上に大きくなると、価格だけでなく、消費電力が大きくなりますから、年間の運転経費が大きく変わります。消費電力の大きな装置は、保守にも費用がかかります。

有名なメーカーでも、経験や知識のない営業マンが、室内の機器のコンセント容量を全部加算してしまい、設計に伝えるので、過剰な設備になるのです。熱負荷を見直して、空調機を弊社方式に交換したら、消費電力が1/3～1/5になった事例は沢山あります。 他社の空調機を、弊社で省エネに改造したり、入れ替えて、極端に省エネにした資料も公開しておりますから、こちらのページも参考にされて下さい。

冷凍機の置場

仕様が決まると、見積金額に一番影響するのが、冷凍機の置場になります。試験室の設置場所が1階で、近くの壁の外に冷凍機が設置できる場合が、１番お安くなります。
2階でも、ベランダに冷凍機が置ける場合はお安くなります。お部屋が1階で、冷凍機は高層の屋上等の例も有り、この場合は、かなりの費用がかかります。また配管距離は20M程度が望ましく、最大でも30M程度、落差は、15M以内が理想です。あまり遠いと、金額だけでなく、思う様に能力が出ないとか、故障する原因にもなります。
また、テナントビルの場合は、壁に冷媒配管用のφ100程度の穴を開けるか、窓をつぶして配管スペースを作る必要がありますから、事前にオーナーに確認が必要です。

現場の下見調査

お見積の金額が、御予算に合う様なら、現場の下見をさせて頂きます。もちろんご計画が具体的なら、直接設置場所を下見して、現場で打合せしている例も多く有ります。
下見により、実際に設置可能な広さ、空調機の置場と配管ルート、給排水の位置と距離等が判りますから、仕様書と、計画図を作成して、正確なお見積を提出します。

納期について

設計製作品ですから、ご注文を戴いてから。概ね、60日～90日かかります。
2～3月の年度末は工事が集中しますので、発注が遅いと年度内の納入がきつくなります。
あらかじめ内示を頂ければ、30日以内に納入した実績も有ります。

工事期間

30㎡ (9坪)程度の恒温恒湿室で、お部屋の組み立てから初めて４日程度、月曜から工事を始めると、木曜には完成し、５日目の金曜日にお引渡ししている例が一番多く有ります。
空調機だけの交換、取付工事であれば、土日の2日間で納入した実績も有ります。

ユーティリティ

試験室の納入までに、100Vの照明電源と、空調機用の三相200Vの動力電源の工事が必要になります。100V分電盤や、制御盤迄の配線工事を、弊社で行う事も可能です。電源容量は、仕様書に記載されています。
弊社の制御盤に電線を接続して頂くのが基本ですが、制御盤の付近の天井に、ケーブルを巻いた状態で支給して頂く例も有り、制御盤への1次電源の接続は、弊社で代行している例も多く有ります。また、設置場所の付近に一次電源の分電盤が有る場合は、ここまでの一次電源工事を、弊社で行っている場合も有ります。

給水管が設置場所付近に無い場合は、近くにバルブ止めで、15～20Ａの給水管を御支給して戴きます。近くに流し等が有る場合は、そこから給水の分岐を取る例も有ります。

排水管は、空調機の近くの床に有る事が理想です。ドレンアップポンプで、遠方に排水する事も可能ですが、この方法はトラブルが多く、漏水が発生した事例が有ります。

責任分岐点と保証範囲

一般的に、制御盤の主ブレーカ以降、給水配管の元バルブ以降で発生したトラブルは、弊社の保証範囲になります。保証期間は通常１年間ですが、DPC方式は故障が少ない為、この方式を導入したいお客様向けに、他社との比較で性能差をつける目的で、補償期間を５年とした例も有ります。

弊社は、建設業の電気工事業と、配管工事業の許可を得ており、火災、漏水等の損害保険にも加入しております。

お客様のご不安

試験室のご検討が初めてのお客様は、試験室がどんなものかよくわからずに、心配されている例は多く有ります。実際に導入されてから、所定の性能が出ない、消費電力が大きくて、風速が強く、騒音が大きい等、満足できずに、悩まれているお客様もおられます。
いずれにしても、高額なお買い物ですから、失敗すると、ご担当の責任問題になります。

弊社の川口工場には、ショールームが有りますから、初めてのお客様は、見学される事をお薦めします。他社製品をご使用中のお客様は、自社に有る装置と、性能に大きな差がある事に大変驚かれ、ここで、これは高性能だと、内示を頂く例も良く有ります。

見学をご希望されるお客様は、希望日と運転温湿度を連絡ください。この条件で運転させておきます。お客様は、JRの赤羽駅から、何名様でも、車でご案内しております。