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清浄度(クリーン度)の規格

清浄度(クリーン度)の規格について解説します。

清浄度(クリーン度)の規格

一定の空間の中に、どのくらいの大きさのホコリが、どのくらいの数あるかを表したものが、清浄度、あるいは、クリーン度です。

従来この規格は、米国連邦規格(FED-STD209D)が採用されて来ておりますが、この外に、ISO規格、JIS規格などが有ります。
現在、ISO規格に統一する動きですが、クリーンルーム業界では、その長い歴史と、判り易さから、まだ米国連邦規格が採用されているのが実情です。

クリーンルーム、クリーンブースの清浄度の測定は、完成後にパーティクルカウンタを使用して、室内の浮遊微粒子がどのくらいあるかを測定して、定められた基準値の中に納まっているかを確認します。

パーティクルカウンタによる清浄度の測定

パーティクルカウンタによる清浄度の測定

米国連邦規格(FED-STD209D)

米国連邦規格は、1フィート立法メートの中に、0.5μm以上の大きさのホコリが、何個有るかで表示します。例えば、クラス100と言えば、0.5μm以上の大きさのホコリが100個未満存在すると状態を示します。
1フィートは30.048cmですから、簡単に表現すると、1辺が30cmの立方体の空間の中に、0.5μm以上のホコリが、1,000個未満あると、クラス1,000と言う事になります。1000個と聞くと、かなりホコリが多く感じますが、これでもレベルの高いクリーンルームです。

ISO規格

ISO規格では、クラス1~クラス9迄が規定されており、こちらは1立方メートルの空間の中に0.1μm以上のホコリが何個有るかの表現です。ISO場合は、表示と清浄度に関連性は有りませんので、表を見て、清浄度を判断する事になります。

実際に多くのクリーンルームは、判りやすい米国連邦規格で表される事が多く、実際の納入例では、クラス100、クラス1,000、クラス10,000が多く、概ね、ISO規格と比較すると、これクISO4、ISO5、ISO6に相当します。数字が大きくなるほど、清浄度は低下します。

米国連邦規格と、ISO、JISの清浄度規格の比較表

米国連邦規格と、ISO、JISの清浄度規格の比較表

清浄度の規格は、細かく規定されておりますが、米国憲法規格とISO、JISを比較すると、上図の様になります。弊社で実際に流通しているのは、ほとんどがクラス1,000です。特に高い清浄度の要求が有っても、弊社での施工は、会社の規模、価格面などを考慮しますと、無理の無い範囲で、クラス100迄としています。
これ以上の清浄度のISOのクラス1、クラス2の規格は、スーパークリーンルームと呼ばれます。スーパークリーンルームを要求される場合は、専門業者に相談されて下さい。

米国連邦規格とISOの表現の差を、図で比較すると下の様になります。

外気と事務所の清浄度

それでは、一般的な外気や事務所の清浄度はどの程度の値になるのでしょうか?
外気は、季節や風、天候やの状態、測定場所によって大きく変わりますが、概ねクラス10,000~クラス100,000程度です。
フィルタ付のエアコンを運転している人の少ない事務所の清浄度は、概ね40~100万程度になりますから、クラス1000,000と言うのは、規格表には有りますが、人の少ない事務所程度の清浄度ですから、実際にはクリーンルームとは呼べない清浄度だと思います。

0.5μmとは、どんな大きさ?

クリーンルームに使用するヘパ(HEPA)フィルタは、0.5μm以上の大きさのチリ(ほこり)は通しません。
これがどれほどの大きさなのか、検討がつかないと思いますが、下記の物は通しません。

杉花粉、バクテリア、黄砂、カビ、ダニの糞、近年良く話題になるPM2.5も、2.5μmですから通しません。ヘパフィルタを通過してしまうのは、ウイルス、煙などです。
これを考えると、ヘパフィルタを使用すれば、一般的な工業用のクリーンルームであれば、ほとんどその目的が果たせると思います。

清浄度は、循環回数により変わります。ヘパフィルタの台数を増やして、風量を増せば、清浄度は比例して上昇します。

HEPAフィルタとULPAフィルタ

医療用や超精密な半導体工場等の、クラス100のクリーンルームには、0.1μmのほこりも阻止できるULPAフィルタを使用しますが、これでも煙やウイルスは通過してしまいます。クラス100は、設備費も高額になりますから、一般的な工業用のクリーンルームでは、ここまでの清浄度は必要無いと考えて、クラス1,000 の仕様が多く利用されています。
半導体工場などでは、実際にクラス1のスーパークリーンルームは使用されています。

清浄度を乱す最大の原因

清浄度を乱す最大の原因は人間です。クリーンルームは無人であれば、かなりの清浄度を示しますが、人が入室すると、その人数に応じて清浄度は低下します。さらに作業を開始しますと、その作業量に応じて、更に清浄度は低下します。

これを考慮すると、入室人員の削減、無塵衣の着用、無駄な動きをしない、不要な物は持込まない、入室時にはエアシャワーを通る。物品のやり取りには、パスボックスを使用する事等は、クラス1,000のクリーンルームでは、必須の条件になります。

また、外気が直接入り込むと清浄度を乱しますから、クリーンルーム内は、外気より圧力を高めて、外気中のほこりが室内に侵入しない様にしています。

室内の圧力を陽圧に保つと、少々の隙間が有っても外気は入りません。一般の事務室を整理して、そのままクリーンルーム用空調機を設置して簡易的クリーンルームの例も有ります。
専門業者は絶対無理だと言いますが、無人であれば、楽にクラス1,000はクリアします。
いかに人間が清浄度を乱すのかは、この事例で良く判ります。

クリーンルームを設置したが、作業量が増えて、希望する清浄度が得られなくなった場合は、天吊りや、床置きのFFUを、後から追加で設置して、清浄度を高めている例も有ります。

 
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