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クリーンブースとクリーンルーム

クリーンブースとクリーンルームの違いと特徴について解説します。

クリーンブースとクリーンルーム

清浄度の高い作業環境が必要になった時に、最初に検討されるのは、クリーンブースにするか、クリーンルームにするかになると思います。
下記に、その違いと特徴をまとめますので、選定する時の参考にされて下さい。

クリーンブース

クリーンブースは、金属のフレームで外枠を作り、静電防止の透明なビニールシートで囲った物で、シートの床の付近に重りを入れて、隙間を作り、この隙間から排気する構造です。
一般的には天井上にFFU (ファン・フィルタユニット)を乗せており、ここから設置場所の空気をブースに送り込んで、床の隙間から排気しています。室内は微陽圧になりますので、ブース内部に外から塵埃は入り込まず、FFUの使用台数で、清浄度が変わります。
小型の物では、オールフレッシュですが、大きなブースでは全部外気導入にすると、ブース内の圧力が高くなり過ぎますから、一部のFFUは内部循環させています。
また、設置場所の天井が低くて、ブースに希望の高さが取れない場合は、ブース内に床置きのFFUを置いたり、外に置いてダクトでブースの天井付近に風を送っている例も有ります。

クリーンブースの利点

  • 組立が簡単で、移設も簡単ですから、短時間で設置ができます。
  • サイズの変更も骨組みを変えて、シートを張りなおすだけですから、比較的簡単です。
  • 骨組みの下に車輪を取付けすれば、設置場所のフロアなら、何処にでも移動できます。
  • 透明なので、中の作業が見えます。また、黒いシートを張れば、暗室にもできます。

クリーンブースの欠点

  • 頭の上にFFUが有るので、ブース内は、かなり音がうるさく感じます。
  • 出入口はカーテンなので、ブース内の出入は、少しやりにくい面が有ります。
  • 弊社のフレームはアルミの構造材で、組立が簡単で、縮小拡張も可能です。丈夫ですが、価格的には鉄に塗装の製品より高くなり、パネル方式と価格差はあまり有りません。
  • 静電防止のシートに断熱性が無いので、温湿度の調整は基本的に行わないのが普通です。
  • 空調機をブース内の床か、ブースの外に取付すれば、それなりの精密空調は出来ますが、元々シートに断熱性が無いので、空調されていない工場の内部等では、空調しても、非常に熱効率が悪くなりますし、極端な温度差が出ると、結露等の問題も発生します。

クリーンルーム

一般的に、断熱パネルでお部屋を作ります。断熱性が有りますから、効率よく精密空調が出来ますので、温湿度が制御出来るクリーンルームは、ほとんどこの方式です。
空調機の内部にヘパフィルタを組込んでしまうと、音も静かになりますから、弊社では、クラス1,000 (ISO, JIS の規格表現ではクラス6) 程度迄のクリーンルームであれば、ヘパフィルタは、空調機に内蔵しています。室内の騒音が少なくなります。

また、室内を陽圧にする為に、フィルタ付のOAファンを使用して、クリーンルーム内に、外気を押込み、差圧ダンパーから排気させて、室内を一定の微陽圧に保っています。

クリーンルームではエアシャワー、パスボックス等の設備を追加して、製品の受け渡しや、作業で室内に出入りする際に、室内に塵埃が入らない様に工夫している例が多く有ります。

計画時に空調機の位置と出入口の位置と広さ、窓の広さと個数等を打合せ、図面を作成して、ご承認を戴いてから工事を施工しています。
後からでも窓の追加、目隠しカーテンの施工等は可能です。
コンセント等も、設計時であれば、希望の位置に埋込が出来ますが、後から追加する場合は、露出になってしまいます。

クリーンルームの利点

お部屋に断熱性が有りますから、精密空調が出来ます。近年は、精密機器や光学レンズを使用する場合等では、お部屋を少し低湿度にしている例も多く有ります。
出入口を自動のスライド扉にして、手を触れずに、出入されている現場も良く有ります。

クリーンルームの欠点

クリーンルームはパネル構造ですから、簡単に移動は出来ません。解体して、移設して再度組立する事になります。
空調機が有るので、移設は手間がかかりますが、プレハブパネル構造ですから、極端に経費は掛かりません。また、移設を機会に、お部屋を広くしたり、出入口の位置を変えたりする事も可能です。

この様に、同じ清浄度を得るにも、ブースとルームの2種類が有りますから、使用される目的を良く考慮されて選択する必要が有ります。

クリーンルーム空調の問題点

事務所等には、床置きのパッケージエアコンが良く採用されておりますが、オプションで、エアコンの上に乗せて使用するヘパフィルタユニット等も販売されております。
早い話、事務所の中に、パッケージエアコンを設置して、ヘパフィルタユニットを乗せれば、誰でも簡単にクリーンルームもどきが作れてしまいます。
エアコンメーカーから、ヒーターユニット、内蔵加湿器等も販売されていますから、これらを組み合わせて、温湿度調節計と組み合わせれば、そこそこの空調も可能になります。

この様に、納入工事が簡単で有ると言う事は、参画するエアコン設置業者も多くおります。
この中には、技術力に問題が有る業者が存在するのも事実です。
この方法は、価格的にとても安く出来ますから、クリーンルームの専門業者よりも安く設置が可能です。この方法ですと、利益率も高いので、業者が多いのですが、故障すると、修理に来てくれないと言う話も聞きます。
特に、加湿器はトラブルが多いので、この様な業者から購入されたお客様は、特にこの故障した時の対応が問題になっております。

また、省エネ性は全く考慮されておりませんので、設置後に発生する、高額な電気料金や、加湿器の修理や保守の為の経費にも驚かれる事になります。イニシャルコストだけで判断されると、その後の経費に大きな差が出ますから、特に注意をして頂きたい問題になります。しかし、実際には価格で選定されている例がほとんどで、その後発生する故障やトラブルに、困っておられるのが実情です。

 
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