support/column/air-conditioning-without-outdoor-unit

室外機の無い空調

理論的に有りえない室外機の無い空調機について解説します。

室外機の無い空調

最初に記載しますが、室外機の無い空調機は、理論的に絶対に有りません。騙されない様にして下さい。
ネットを見ますと、ダイキンが開発した室外機の要らない壁掛けのエアコンだと、はっきりメーカー名を口に出して宣伝しているネット販売店が有ります。商品の説明欄には、何処にもダイキンと言うメーカー名は有りません。製品の写真を拡大しますと、日本には無い漢字が見えますので、もうお分かりになると思います。

空気圧縮をして冷却するパナソニックと共同開発した、腰に取付けるポータブル冷風装置と言うのも有りました。空気を圧縮するには大きなエネルギーが必要ですし、空気を圧縮したら発熱しますから、冷却は出来ません。これはただの扇風機です。
何故、日本の一流メーカーの名を騙って宣伝して、問題が起きていないのか不思議ですが、他にも、この様な例は有ると思います。

国産でも、冷風機と言う物が有ります。冷風機の中に水を入れて、気化熱で冷却する物です。
外気より-10℃低い温度が吹出すと宣伝していますから、いかにも涼しくなりそうです。
但し、これは空気が乾燥している時の値です。夏季はこれ程下がりません。気化熱で冷却すると言う事は、逆に湿度は上昇すると言う事です。
言葉を変えると、冷風機は水を蒸発させているだけですから、これはただの加湿器です。

締め切った部屋で、自然蒸発式の加湿器を使用して、吹出温度が下ったとしても、お部屋の温度は絶対に下がりません。湿度だけが上昇する事は、ご理解いただけると思います。
夏季で室内の湿度か高いと、蒸発しにくくなるので、温度は下がり難くなり、湿度はさらに上がります。この為、締め切ったお部屋で冷風機を使用すると、不快指数だけが上昇します。
エアコンの代わりに冷風機の採用は、お金を捨てるだけの結果になります。

これらの冷却装置には、共通して室外機が有りません。空気を加熱する場合は、電気ヒーターでも簡単に行えますが、電気で直接冷やす事は、現在の技術では出来ません。

クーラーと呼ばれる物は、熱交換機で、室内の熱を奪い、室外機で屋外に捨てています。
クーラーの室外機からは、熱い空気が吹出しており、室内機からは水滴が流れ出ています。
これは、室内から奪った熱を、室外機に移動して捨てているからです。冷却コイルが冷たくなれば、ここに結露して水滴になり、室内の湿気を奪いうので、不快指数は下がります。
この熱の移動に使用しているのが冷媒ガスです。
この冷媒の方向を切替て、室内にこの温風を吹出せば暖房になります。これがエアコンの暖房の原理です。冬季のエアコンの室外機からは冷風が出ておりますが、外気温度が極端に低くなると、冷気中に冷気を捨て難くなるので、暖房の効率は悪くなります。

この様に、空気を冷やすには、熱交換して冷やす必要が有るので、必ず室外機が必要になります。室外機の無いエアコンは絶対に有り得ませんので、騙されない様にして下さい。

室外機が要らないのは、電気ヒーターで加熱する暖房機だけです。電気を流して冷却できる素材はまだ発見されておりません。電気加熱は、電圧×電流で発熱量が決まります。
当社の製品はセラミックヒーターで効率が良いから、超小型で、何百Wで、何平米の部屋が、何分で何℃に上昇すると言う等の宣伝を良く見かけます。これも、全て嘘です。
電気ヒーターの発熱量は、あくまでも電圧×電流分だけ発熱し、入力電力が発熱量になります。ヒーターの効率は関係ありません。入力電力以上に発熱する事は、絶対に有りません。
吹出す風はかなりの熱風ですが、何百W程度の電力では、広いお部屋の暖房は無理です。

冷温庫と呼ばれる、冷蔵庫と温蔵庫になる製品も有ります。これはペルチェ素子と言う物を利用した製品で、ペルチェ素子は、直流の電流を流すと、片方の電極が冷え、もう片方は熱くなる性質が有ります。流した電流で温度は変わりますが、熱交換ではありませんので、電力的な効率は、コンプレッサを使用した冷媒方式よりかなり悪くなります。

これを小さな冷温庫の壁の一部に使用すると、流す電流の方向によって、冷蔵庫になったり、温蔵庫になったりするわけです。
効率は良く有りませんので、この方式は、お部屋の空調等、大きな物には使えません。
また、この素子を冷蔵庫として使用しても、外気温の高い夏季は、外気温につられて冷却側の温度が上昇しますから、ビール等をキンキンに冷やす事は出来ません。
飲み物は少し冷たくはなりますが、物足りない冷え方になります。
夏季に飲み物を冷やす為に冷温庫を購入するなら、コンプレッサ式の冷蔵庫を購入する事をお薦めします。コンプレッサ式なら、ダイヤルで温度調節が出来て、氷も作れます。

近年は、送風機を組込んだ空調服だけでなく、ペルチェ素子を利用した冷房服と言うのも現れ、チョッキの内側を冷やす製品も有りますが、冷えるのはごく一部分だけです。これでは着心地も、それなりだとは思います。また、首の頸動脈の部分や、後ろ側だけを冷やす、首にかけるネックレス状のペルチェ素子等も市販されております。

ペルチェ素子は、冷気側と発熱側は対になっており、室外機は有りません。冷却側と加熱側を離す事が出来ませんから、この面でも、効率が悪いのです。

 
恒温恒湿室・環境試験室など、各種お問い合わせ・無料お見積もりはこちら
03-3905-4855
メールでのお問い合わせは24時間受付中