他社製品の修理・改造・入れ替え
空間の制限や既存の空調設備などの様々な条件の中、
お客様のご要望に合わせて改修いたします。
他社製空調装置の修理と改造
他社が製造した空調装置の修理
試験室は、納入されてから20年以上使用されている例が多く有ります。さすがに古くなると、故障や、性能的な問題も出て来ますので、修理の依頼や入れ替えのお話が出て来ます。
従来から主力の空調方式であるPID方式では、パッケージエアコンを利用した物が多く、冷凍機を使用した機種でも、冷房能力は固定です。この選定は、夏季に最大の熱負荷が発生する事を考慮して、余裕を持った能力の機種を選定します。
これの冷凍機を連続運転させた状態で、ヒーターと加湿器を使用して、設定された温湿度迄上昇させて保持させるのが、PID方式です。
この方式は、冷却する必要の無い冬季でも連続運転させますから、かなりの過剰冷却になります。低下した室温を、加熱ヒーターで上昇させますから、これだけでも、消費電力が非常に多い方式です。
空気は、冷却して加熱すると、除湿されます。空気の乾燥した冬季は、除湿する必要は有りませんが、PID方式では冬季でも除湿してしまうので、室内の湿度は極端に低下します。
低下した湿度は、加湿器で大量に加湿して湿度条件を得ますから、乾燥して温度の低い冬季の消費電力は、当然夏季より大きくなります。この為に加湿器の故障も多発します。
電気料金の安かった時代はこれでも許されましたが、現在の様に電気料金と部品の価格が高騰した現在では、この運転経費や保守費が大きな問題になっております。
また、以前に環境試験室を製造販売していた大手のメーカーであっても、消えてしまったメーカーもあります。これらの装置が故障すると、修理を依頼する所が無くて、とても困っておられます。この様なお客様から、省エネ化のご相談や、修理の依頼等も良く有ります。
小さなメーカーの製品ですと、市販部品の寄せ集めですから、修理が可能な場合も有ります。
この場合は、修理と同時に、性能を上げて、省エネに改造する事も出来ます。
大手のメーカー製の修理で困るのは、オリジナルの部品が使用されている点で、その部品が入手できないと、部品を交換すれば直る様な故障の修理でも、他のメーカーでは出来ません。
お客様にはお気の毒ですが、オリジナルの部品が故障している場合は、修理をお断りしている例も多く有ります。使用部品が特殊ですと、他の業者では手が出せません。
また、メーカーが存続していても、古い装置では、もう補修部品が無いから修理は無理だと、辞退されたとか、常識を超えた様な、高額な修理見積が出たと言うお話も良く聞きます。
他社製の装置の改造
試験室のパネル等、お部屋そのものは長持ちしますから、この様な場合は、お部屋だけを再利用して、空調装置は残念ですが修理が出来ないので廃棄して、そのお部屋に合わせて設計した新しい空調機を製作して、そのまま入れ替えてしまう例が多く有ります。
40年以上前の、かなり古い木造の恒温恒湿室のお部屋でも、お部屋だけを残して、空調機を最新の空調設備に入れ替えて、極端に性能を向上させた改造実績も有ります。
お部屋は古くても、全く問題ありません。
古い装置は、修理しても次はどこが故障するか判りませんので、修理品の保証は出来ません。
この様な場合は、既存の空調装置の修理はあきらめて戴き、空調装置だけを入れ替えてしまう方法をお薦めしております。空調機を交換すると、大幅に性能が向上して、極端に消費電力が削減されますから、数年で空調機を交換した費用の回収ができてしまいます。
お客様は、これほど極端に性能が変わり、極端に省エネになり、故障も減るのなら、もっと早く実行すれば良かったとよく言われます。
共通して言えるのは、古い方式の装置を入替えた場合は、運転音や風が静かになり、精度が高くなり、故障が少なく、極端に省エネになるので、皆様が驚かれる事です。
古い装置をそのまま修理した例も有りますが、外観は何も変わらず、性能も変わらないので、参考になる様な写真は有りません。消費電力は変わらず、修理後の故障の補償は出来ませんので、古い装置の修理は、あまり得策とは言えません。
実際には、お部屋だけを残して、古い空調機を、最新式の空調機に入替える例の方が多く、この方が絶対に得策になります。この空調機入替の改造例を幾つかご紹介します。
他社製の設備の改造実例
神戸の某工業試験場様の空調機改造例
改造前
改造後
左の写真の様にエアコンを利用して、メーカー製の機器を寄せ集めの様な空調機も、弊社のDPC方式と入替えると、右の写真の様に1台にスッキリまとまります。お部屋と天井のダクト、吹出口は再利用しています。
突起物は、空調機の右上に見える給水パイプ以外には有りません。空調設備の設置面積はかなり少なくなりますので、お部屋の有効スペースが広くなります。
改造前の装置は、加湿器が頻繁に故障し、高額な修理費に悩まれておりましたが、大阪の業者なので、修理には直ぐに来てくれたそうです。東京の業者から購入して、故障したら、修理はどうするのか、かなり心配されておりましたが、この装置は、加湿器が無いので、めったに故障しないと説明して、納入させていただきました。
その後、お客様は、あまりにも故障しないので、このままで大丈夫なのかと逆に心配になり、納入した10年後に点検の依頼が有りました。この時に、送風機を交換しただけで、この装置は、現在も全く問題無く稼働しております。
入替後は温湿度の精度が向上し、消費電力も1/4に削減され、多発していた加湿器のトラブルが全く無くなったので、大変喜ばれております。
東京都の某コンクリート試験室の改造例
改造前
改造後
左は、低温多湿の難しい条件なので、この様に複雑怪奇になった他社の空調装置です。
弊社が改造すると右の様に、かなりシンプルになります。これは、弊社のCSC方式で、手作品ですから、けしてスマートとは言えませんが、性能が向上して、水滴が飛んでこなくなり、運転音も風速も、かなり静かになり、喜ばれております。
旧装置は、写真で見える様に、吹出口に加湿ノズルと、しぶき除けのSUS板が見えていますが、最大加湿時には、室内に熱い雨が降る様な装置でした。
入替後は、年間の電気料金が1/4程度に安くなりましたから、以後の改造や、新規の御注文は、他社に相談される事も無く、弊社の独占納入になっております。
九州の某製紙会社様の空調機の改造例
改造前
改造後
左の写真は、かなり古い空調機の写真です。図面等の資料を紛失されており、何も無いので推定ですが、昭和の後期頃に納入された、木造の恒温恒湿室と空調機です。
他社製ですが、故障の少ない露点散水方式でした。これは40年以上も、実際に稼働していた装置です。修理しながらとは言え、他ではあまり聞かない極めて長寿命の記録です。
製造元が無くなり、冷凍機の冷媒が販売中止になり、これ以上の保守は無理と判断されて、2023年に、木造のお部屋だけ再利用して、空調設備を右の写真の様な、弊社のDPC方式に入れ替えさせて戴いた例です。
木造のお部屋は、そのまま再利用しており、古い装置の有った場所に合う様に空調機を設計しました。給排水、ダクト等は、再利用しております。
空調機は小型で薄くなり、メンテナンス面は正面だけですから、1人でも容易に部品交換等の作業が可能な構造になっています。
お部屋には観測窓が有りましたので、室内からも、温湿度が監視できる様な構造としました。
低風速で低騒音になり、精度は極端に高くなりました。消費電力も少なくなり、ほぼメンテナンスフリーになりました。
部品交換も、パネルの1面を外せば、簡単に行える構造なので、とても喜ばれております。
民間の研究所様の空調機の改造例1
改造前
改造後
左の写真は、一流企業様の研究所の恒温恒湿室の空調設備一式です。
改造前は、このようにエアコン、加湿器、制御盤が並び、設置スペースも広く、加湿器上部には斜めの蒸気配管が有り、ここに手を触れると火傷する様な状態でした。
消費電力が多く、加湿器の故障が多発して、悩まれていた装置でした。
右の写真は、弊社CSC方式の空調機に入替えた物で、エアコンの横に飛び出していた外気導入のダクトは天井上に変更しました。改造後は、すっきりと1台にまとまり、消費電力は1/4に低下しました。
周囲の雰囲気で、これが同じ場所である事が判ると思います。右奥に広いスペースが出来て、低風速でも温湿度の精度が高くなり、この場所の騒音も減少しております。
この空調機の中には、加湿器が2台有ります。運転中に交互洗浄させており、運転中に洗浄しても湿度は全く乱れず、加湿器の稼働率が低いので、トラブルも減少しています。
また、1台の加湿器が故障しても、残されたもう1台がバックアップするので、故障しても、湿度は全く乱れません。1台の加湿器が故障しても、そのまま実験が継続できる方式です。
民間の研究所様の空調機の改造例2
改造前
改造後
左の写真は、かなり古い恒温恒湿室です。
黒く見えているのは、外付けの加湿器です。
この装置は加湿器の故障が多く、この時点では、故障したまま長年放置された状態でした。
これを低温低湿から高温多湿迄の運転が可能な、環境試験室に改造出来ないかとの相談を受け、右の写真の様に改造しました。
お部屋は冷蔵庫用の断熱パネルでしたが、扉は普通のアルミ枠で、断熱性の悪い物ですから、低温や多湿運転では、この部分に結露してしまいます。そこで、扉の枠から防熱扉に交換して、低温低湿から高温多湿の運転迄、幅広く対応が出来る環境試験室に改造しました。 お部屋自体の断熱パネルだけは、そのまま再利用した例です。
空調機は、お部屋と完全に一体化させており、ご覧の様に、配管類を含めて、周囲に突起物は一切有りません。この空調機には、2台の加湿器を内蔵させております。運転中に交互に自動で洗浄する方式ですから、お悩みであった加湿器の故障も少なくなります。
この様に、古くて性能の悪い装置を修理して使うより、空調装置だけ入れ替えてしまう方が、性能は上がりますし、消費電力は下ります。保証も付きますから、絶対に得策だと思います。
この様な改造は、既製品として決まった形の試験室を販売している大手のメーカーでは、相談しても、自社製品であっても、なかなか改造には対応してくれない様です。
古い試験室をお持ちで、何かお困りの場合は、ぜひ、相談して頂きたいと思います。
民間の研究所様の空調機の改造例3
改造前
改造前騒音値
改造後騒音値
左の写真は、パッケージエアコンを利用した恒温恒湿室です。室内に直接風を吹き出しており、エアコン下部にはコンプレッサが内蔵されているタイプなので、騒音と振動がとても大きい装置でした。
右上に見えているのは加湿器で、室内に有るので、沸騰する音が室内で良く聞こえます。
その他の機器の点検の為には、右側の子扉から機械室に入って点検する構造でした。
改造前に、このお部屋の騒音を測定すると、写真の様に、65.2dbも有りました。
この騒音値は、交差点内と同じレベルで、室内では大声を出さないと会話が出来ない程の騒音値でした。この様な装置が納入されていた事にも驚きましたが、お客様が気の毒です。
左は改造後の写真です。分散吹出として清音化したので、この写真では吹出口は見えておりません。メンテナンスは正面からだけで可能で、子扉の中には何も有りません。
加湿器は空調機内に2台が収納されており、自動交互洗浄です。騒音は、43.5 dbに迄下がりました。これは一般の病院内の騒音と言われる値と、ほぼ同じレベルです。
お客様が、一番驚かれたのは、今迄気が付かなかったノートパソコンの冷却ファンの音が、急にうるさく感じる様になったと言う事です。
この装置は、改造前に消費電流を測定しました。電力計が無かったので、電流を測定しましたが、クランプ電流計は、50.1Aを示しています。
消費電力を計算すると、50.1A×200V×√3 = 17.35kWです。
加湿器が半分故障して、湿度が上がらない状態でこれですから、加湿器が正常なら、もっと大きな20kW近い消費電力になった筈です。
左の写真は、この空調機を交換した後で、温湿度が設定値付近に到達した時に消費電力を測定した物です。
消費電力は、3.05kWに削減されました。
およそ1/6の削減で、電気料金を16.5円で計算すると、旧装置は、1年間では、152,000kWで、連続運転では、250万円がかかっていた事になります。
改造後は、26,72kWですから、1年間の連続運転でも、電気料金は44万円に削減されました。
この改造により、1年間の連続運転では、200万円もの電気料金が節約された事になります。
加湿器の故障も少なくなりますから、保守点検の費用もお安くなります。
皆様が、もっと早く改造すれば良かったと言われる理由が、これを見て頂ければ判ります。
古い装置を入替えると、電気料金が大幅に削減されます。削減された数年分の電気料金を考えると、改造費は数年で回収できますから、この様な改造は絶対に得策です。
その後は、精度も上がるし、加湿器の故障も極端に少なくなりますから、年間の経費、保守費用は、大きく削減されます。
古い装置の修理をお薦めしないのは、この大幅な経費の削減が出来るのが理由です。
他社装置の故障や、修理費の高さ、電気料金の高さが問題になっている場合は、ぜひご検討されて下さい。