

※弊社のクリーンルームの施工はあくまでも恒温恒湿室・環境試験室施工のオプションとなります。
クリーンルームとは、単純に、空気中のゴミ(塵埃と言いますが)が少ない部屋のことです。
そのために、密閉性の良い部屋を作って、HEPA(ヘパ)フィルタという特殊なフィルタを通した風(空気)を送り込み、循環させ続けることで、ゴミの量はどんどん減ります。
扉を開けたときにCRの外側の部屋から空気が流れ込むと、CR内にゴミが入ってしまいますので、陽圧(正圧)といって室内の空気の圧力を若干上げることで、扉を開けたときにCRの中から外へ空気が流れ出すようにします。
HEPAフィルタは0.3μm(ミクロン)の粒子を99.97%取ることが出来るフィルタで、最近では花粉も取れることから家庭用の空気清浄機にも使われています。
クリーンルームの4原則
1.微粒子・細菌を室内に入れないこと
室内を陽圧(大気圧より高い圧力)にして、扉等が開いた時吹き出るようにします。
2.微粒子・細菌を極力排除すること
エアシャワーを用いて、入室時に身体に付いた微粒子を排除します。
クリーンルーム内は、HEPAフィルタを通した空気を循環させ、微粒子を取り除きます。
3.微粒子・細菌の発生を防ぐこと
室内ではクリーンスーツ、マスク、手袋等を装着し、身体から発生する塵埃を防ぎます。
無塵紙や不織布など、粒子が発生しにくい製品を使用します。
4.微粒子・細菌を堆積させないこと
室内は清掃を心掛けると共に、手の届きにくい所は斜め屋根を付けてホコリが落ちやすい様にします。
クリーンルームの種類
クリーンルームには工業用クリーンルーム(ICR)、とバイオクリーンルーム(BCR)無菌室とがあります。
工業用クリーンルームは、浮遊塵埃を除去する無じん室です。
精密機器、半導体工場などに使われます。
バイオクリーンルームは、浮遊塵埃だけでなく細菌をも除去する無菌室です。
食品加工工場や無菌室(無菌動物飼育室等)、バイオハザードなどに使われます。
ICR:Industrial Clean Room
BCR:Biological Clean Room
清浄度
ICRは米国連邦規格FS209、BCRは米国航空宇宙局(NASA)規格に準用します。
清浄度にはクラスという単位があります。
一般的にはクラス100,000~100まであります。
クリーンルームの設備
クリーンルームの4原則の条件を満たすために様々な工夫が凝らされています。
HEPAフィルタ

微細な塵埃や細菌をもシャットアウトする、クリーンルームには欠かせない高性能フィルタです。0.3μmの粒子を99.97%除去する事が出来るフィルタです。定期的な交換が必要です。
エアシャワー

クリーンルームの出入り口で、HEPAフィルタで無塵化したジェット気流により体に付着したゴミを吹き飛ばします。エアロックの働きもするので、クリーンルーム内への塵埃の進入を最小限にくい止めます。
パスボックス

クリーンルームへの出入りは最小限にする必要があります。パスボックスは物品の受け渡しをするための箱で壁面に取り付けます。エアロックの働きをし、クリーンルーム内への塵埃の進入を最小限にくい止めます。
リリーフダンパー

クリーンルーム内は、外部からの塵埃の進入を防ぐために、陽圧(正圧)(バイオハザードは陰圧(負圧))に保たれています。内部と外部での圧力差が有るため、ドアの開閉が困難になります。リリーフダンパーは部屋の差圧を調整し陽圧に保ち、ドアの開閉を楽にする働きを持っています。
設置例
エアコンを利用したクリーンルーム空調機の例

市販のパッケージエアコンに、オプションのヘパフィルタユニットを乗せ、市販の加湿器を外付けしております。右側は、外気(OA)の取入ユニットです。
清浄度が必要なお部屋の中に、このユニットを置けば、そのままクリーンルームになります。
エアコンを利用した装置の場合は、概ね、この様な形になります。
加湿器を内蔵させている例も有りますが、冷却コイルの下側にしかスペースが無いので、加湿するとすぐ除湿されて効率が悪く、故障も多発します。省エネにもなりません。
市販のエアコンを利用したクリーンルーム業者と競争しても、適正な利益は出ませんので、弊社はあえてクリーンルームの宣伝は行なっておりません。高精度の恒温恒湿室が御望ですが、できたら、クリーンルームにしたいと言うお客様のご要望だけに対応して来ました。
ご興味の有るお客様向けに、弊社で納入したクリーンルームを紹介させていただきます。
お部屋の中に設置したクリーンルーム用空調機

断熱したお部屋の中に、2台のヘパフィルタを組込んだ空調装置一式を設置した例です。
空調機の内部には、2台の加湿器も組込まれており、交互に洗浄して、トラブルを防止しております。エアコン方式ですと、吹出口は正面だけですが、この空調機は、3方向に送風しております。この様な方式は、直吹きと呼ばれています。
新鮮空気は、背面からの吸込みで、空調機の中に、OAファンも内蔵されております。
写真の様に、突起物は一切ありません。チリの溜まる場所は、空調機と制御盤の天井だけで、配線、配管も露出させておらず、冷媒配管も裏側ですから、すっきりと収まっています。
この装置は、本格的なクリーンルームの様に断熱パネルでは囲わず、一般的な建物のお部屋の中に、そのまま設置しただけの例も有ります。同業者は絶対に無理と言いますが、お部屋を陽圧に保てば、実際にはかなりの清浄度 (クラス1,000程度)が得られております。
天井面吹出のクリーンルーム

天井を二重にして、下側の天井上にヘパフィルタを並べて、高い清浄度を得ている例です。
壁面吹出のクリーンルーム

壁にウルパフィルタを並べて、室内を一方通行の送風で空調している例です。
一方通行ですから、風上で発生したチリは、風下側に流れますから、風上側は、いつでもクラス100以上の高い清浄度が得られます。
新鮮空気取入ユニット(OAファン)

大量に外気を導入する必要が有る時に使用するOAファンユニットです。
一般空調用のフィレドンフィルタと、中性能フィルタの2段で処理した外気を、空調機内に押し込んでいます。外気は、空調機で処理され、ヘパフィルタを通して、室内に送風されます。
給気量は、ボリウムで可変が出来ます。大量の換気が必要無い時は、省エネの為に、給気量を落としています。
ユニットの前面パネルは簡単に取り外せて、内部のフィルタも簡単に交換が出来ます。
エアシャワーの一例


入室する時に、塵埃を持ち込まない様に、清浄度の高いクリーンルームでは、この様なエアシャワーを出入口に設置しています。
出入口は狭いので、この外に、機器搬入用の大扉を取付けするのが一般的です。
バスボックスの一例

部品や製品をやり取りする為の小窓です。両方の扉を同時に開くと、外気が入り込みますから、扉はインターロックされており、片方ずつしか扉が開かない構造になっています。
自動扉の一例

クリーンルームを連結して設置した場合に、製品を持って、両手がふさがっていても、隣室に移動できる様に自動扉を設置した例です。
扉の前に立てば、自動で開閉するスライド扉を設置しており、そのまま隣室に移動出来る様にした例です。
差圧ダンパ取付例


外気の導入により室内は陽圧になりますから、圧力が高まると、この様な陽圧ダンパから排気をさせています。ダンパの重りの移動により、室内の微陽圧が調整できます。
左側のダンパは、扉の開閉や、給気量を可変にすると、圧力変化でパタパタ音がします。
右側のダンパは圧力変化に対応して、音も無くスムーズに開閉しますからお薦めですが、少し価格が高くなります。
床置きFFUの一例

一般空調のお部屋で、手軽に清浄度が欲しい場合や、クリーンルームでも清浄度が少し不足する場合は、写真の様なFFU (ファン・フィルタユニット)を設置する例も有ります。
床置きですから、設置工事は簡単に行えます。
終わりに

弊社は、高精度で、省エネで、故障の少ない恒温恒湿室が専門で、この納入実績は多く有りますが、お客様のご希望で、この様なクリーンルームも設計製作して納入しています。
また、他社製のクリーンルームで、高額な電気料金や、加湿器の故障で悩んでいる例は、とても多く有りますので、改造のご相談もお受けしております。
メーカーの標準的なクリーンルームでは、ご満足いただけない場合は、相談して頂ければ、対処致します。