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技術資料

カビ臭くなる露点散水方式の充填材の交換

恒温恒湿室をネットで検索しますと、露点散水方式と呼ぶ、省電力で、故障が少ない空調機が、数社から製造販売されております。
露点散水方式は、空調機内部で冷水を散水しており、この中に室内の空気を循環させて、夏季は除湿、冬季は加湿を行っています。トラブルの多い加湿器を使用していないので、消費電力が少なく、故障が少ない方式で、長い歴史と、多くの実績のある空調機です。

散水の方法は、陣笠方式で、空調機内に陣笠状の散水器を置き、ここに冷水をぶつけて、その下に有る充填材に散水し、熱交換させるものです。
この方法は、冷水が落ちて来る位置がほぼ固定されていますから、濡れる充填材と、濡れない充填材が出ます。その境目にカビが発生して、そのカビは、だんだん成長して来ます。
また、空調機内部の陣笠が空気の流れを阻害しますから、空調効率が悪い欠点が有ります。

露点散水式には、しばらく運転すると、室内がカビ臭くなる欠点が有りますから、衛生面を考慮すると、定期的に充填材を交換する必要が有ります。
充填材は、比較的高価で、廃棄にも費用がかかります。この交換作業は、数年に1回程度は必要で、お客様は、定期点検を兼ねて、充填材の全交換を行っておられます。
数年に1回とは言いますが、実は、運転すると直ぐにカビ臭くなって来ます。だんだん酷くなりますから、あの部屋はカビ臭いと言う苦情が出て、健康面でも心配になり、定期点検を依頼して、充填材を交換しているのが実情です。但し、交換しても直ぐにカビ臭くなります。

もちろん、カビ臭いのを我慢すれば、温湿度の精度には直接影響しませんので、そのまま充填材を交換しないで、長期間の運転をされているお客様もおられます。
但し、冷却水が汚れると、冷却コイルの銅管に腐食が発生して、数年で穴が開きます。
冷凍機が水を吸い込むので、重故障になり、修理に100万円以上の修理費がかかります。

充填材は、2025年に、メーカーの事情で、突然仕入れ価格が2倍になりました。この為、定期点検と充填材の交換費用が極端に上がり、数年に1度のメンテナンスに、40~50万円もの費用がかかるようです。
加湿器が無いから保守費はほとんどかからないと宣伝しておりますが、これはカビ臭さを我慢して使用している場合の話です。
実際には、室内がカビ臭くなるので、定期的な充填材の交換が必要です。この様な説明は、契約時には出ないと思いますが、露点散水方式は、だんだんカビ臭くなる事で悩まされます。

弊社DPC方式も、空調機内部で、冷水を散水している構造は同じです。弊社の散水器は、プロペラ方式で、風と水流で回転します。水ベアリング方式で、動力が無いので故障する事も無く、空気抵抗もほとんど無く、均一に散水されますので、カビは発生しません。
クーリングタワーの様に、パイプに穴を開けた散水器ではありませんので、汚れて穴が詰まり、散水が止まる事も有りません。
使用している充填材は他社と同じ物ですが、均一に散水されますから、空調機の効率が良く、使用している充填材は、他社の半分以下です。空気の流れが良く、とても省エネです。

弊社DPC方式の基本的な原理は、露点散水式とほぼ同様ですが、全ての充填材に冷水が触れますから、カビが生えません。参考写真の様に、充填材の定期交換は不要で、消耗品が有りませんので、保守費もほとんどかかりません。
水槽の冷水は自動置換させて濃縮による水の汚れも防止しております。他の露点散水方式の様に、水槽内にバイオフィルム(プリプリした寒天状の雑菌の巣)も発生しません。
冷却コイルの銅管の腐食が起きにくく、ご希望でステンレスのコイルも指定できます。

弊社DPC方式に純水装置は必要が無く、現場に水道水が無ければ、工業用水や、井戸水で運転する事も可能です。実際に、工業用水や、井戸水で運転している納入先も有ります。
弊社の空調機には、内部を洗浄する水洗キットが標準で装備されております。空調機の内部は監視窓から見られ、汚れがあれば、お客様ご自身でも、簡単に洗浄する事が可能です。
空調機内部の清掃や、充填材の交換に、わざわざメーカーを呼ぶ必要は有りません。

エアコンと加湿器を使う一般的な空調機では、冬でもドレン水がポタポタと排水されます。水を加湿器で蒸気にして、冷却コイルで再び水滴に戻しますから、無駄が多く、この捨てているドレンは、まぎれもなく、蒸留水なのです。この方式はPID方式と呼びますが、無駄に蒸留水を捨てている形なので、運転コストが非常に高く、加湿器の故障の多い方式です。
加湿器のトラブルが多発しますから、メーカーに苦情を言うと、純水器を薦められます。
純水器を使用すれば、加湿器の故障は減りますが、純水製造には高額な保守費がかかります。
純水器を採用すると、なおさら運転経費が高くなるので、皆様が驚かれています。

弊社DPC方式は、夏季には必要量の除湿をするだけで、水道水は1滴も使用しません。
空気中の水分を除湿して冷却水が増えるので、これが溢れてドレンとして出るだけです。
冬季は、冷水で必要な量だけの加湿をしますから、基本的にドレンは全く発生しません。
冷却水の自動置換の排水時以外には、無駄な給排水は一切行いません。
精度は非常に高く、充填材はほとんど汚れないので、定期的な交換は不要です。消費電力が極端に少なく、故障も少なく、水道水もわずかしか使わない、究極の省エネ装置です。

参考資料

他社製露点散水式の充填材の汚れ

運転開始後2年を経過した充填材

運転開始後3年を経過した充填材です。
網目は完全に塞がっておりカビを越えて、細菌のバイオフィルムになっております。

弊社DPC方式の充填材の汚れ

運転開始後1年を経過した充填材

連続運転12年目の装置のオーバーホール時に、充填材を真上から撮影した写真です。
当時は、この様に充填剤を並べていました。
変色しただけで、カビの発生は有りません。

露点散水方式の空調機は、1枚目と2枚目の写真の様に、カビとバイオフィルムで汚れた充填材の中を通過してきた空気で空調をしているのです。充填材は外部から見えないので、お客様は、こんなに空調機の内部が汚れているのを知りません。まるで下水路の中の様です。
この恒温恒湿室に入室して、1日中呼吸をしているとしたら、怖くは有りませんか?
お客様は、充填材の交換時に、この様に汚れた充填材を始めて見て、大変驚かれています。

露点散水式は60年以上の歴史の有る空調機ですが、病気の原因になった話は聞いた事が有りません。おそらく循環水の温度が10℃付近で、井戸水の15℃より低いのと、散水で、空気中の酸素と頻繁に接触するので、有害な細菌は繁殖し難いからだと思われます。

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