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夜間と休日は省エネ運転にしたい

恒温恒湿室の空調機の設計は、お部屋の広さだけでなく、室内の発熱、入室している人員数等によって、必要な熱量の計算を行っています。

この時、お客様から報告される熱負荷は、室内に入る予定の機器の定格電力を、全て合計して報告される事が多いのです。実際には、全部が同時に最大電力で働く事は、まず無いと想定されます。一般的には、全発熱負荷の合計に、0.6~0.7程度の稼働率を掛けています。

あるお客様から、小さな試験室ですが、室内に3相のコンセント30Aが必要で、消費電力は9kWが必要と言うご要望が有りました。下見した所、確かにその装置には30Aの大きなプラグがついており、定格電力9kWの銘板がついておりました。
このご要望を満たすには、小さなお部屋なのに、空調機だけやたら能力が大きくなります。
何か変だなと思い、室内に入れるこの機械のメーカーに問い合わせした所、この最大電力が働くのは、最初に圧縮する数十秒間だけで、この時に大きなモーターが働くので、大きな電源容量が必要だが、後はほとんど発熱しないとの事でした。この程度の時間なら、室内の温湿度はほとんど乱れませんし、乱れても、直ぐに元に戻ります。
稼働率としては、わずかな物で、これをお客様の言われる通りに計画したら、空調機が大きくなり過ぎて、価格が高くなり、何より年間の電気料金が高額になってしまう所でした。

室内人員も、想定される最大数を報告される例が多いのですが、常時最大数が入室していない場合が多く見られます。換気量は労働基準法等で規定されており、1名当たり20~30㎥です。入室者数は、換気量に大きく影響します。冬季に大量に換気すると、ヒーターと加湿器の消費電力が増えます。
夏季に大量換気するには、大きな冷凍機が必要になります。必要以上に人数を多く申告すると、大きな空調機になってしまい、入室者が居なくても、大きな消費電力になります。
一般的なPID方式では、冷凍機を大きくすると、ヒーターと加湿器の能力も、比例して、大きくなるので、ますます消費電力の大きな装置になってしまうのです。

メーカーは希望の温湿度が出なければ、大問題になりますから、当然能力に余裕を見て設計しますから、ますます過剰な設備になってしまうのです。
メーカーにしたら、価格競争ですから、他社より価格を下げる事が重要で、条件さえ出れば良く、省エネ等は、最初から考えていないのが実情です。高額になる電気料金は、お客様の支払いですから、メーカーには直接関係の無い事です。

一般的に、冷却量の計算は、お部屋の広さと、温湿度条件、お客様の申告による、室内発熱と、人員数で決定されます。この為、お客様が単純に、室内に入れる予定の機器の定格電力を全部足し算して、更に出入する可能性の有る最大の人員数をメーカーの営業に報告すると、設計はそれを信じて、更に余裕をみて計画するので、結果的に、かなり過剰な設備になっている例がとても多く見られるのです。

恒温恒湿室は、停止させると室内が多湿になる例が多く、室内に試験体を置いている場合は、この時に吸湿してしまうので、測定結果に影響が出ますから、停止させないのが原則です。
一般的に恒温恒湿室は年間連続運転ですから、わずかな消費電力の差でも、年間では大きな電気料金差になります。電気料金が高騰した現在、省エネ化は、必須の項目になっています。

従来のPID方式の冷凍機やエアコンは、固定能力です。夏季の最大発熱を想定して冷凍機やエアコンを選定しますから、冬季には、当然過剰な冷却除湿になります。冬季には、全く必要が無いのに、強力な冷却と除湿を行い、低下した湿度を保証する為に、加湿器の稼働率も高くなります。
従来のPID方式では、冬季の電気料金が、夏季よりも高くなり、加湿器の故障が多発する事になります。

この様な空調機を、弊社のCSC方式の空調機に入れ替えますと、必要な時にだけ能力を増強して、熱負荷が低下すると、自動的に必要最小限の能力に下げる様に制御しますから、極端な省エネになります。
また、明らかに能力過剰な設備で、加湿器の故障に悩まれている装置を、弊社のDPC方式の空調機に交換した例も有ります。消費電力は、1/3 ~ 1/6に削減され、加湿器が無いので、ほとんど故障し無くなります。入替えたお客様は、大変驚かれます。

これら、CSC方式や、DPC方式、省エネに改造した資料等は、弊社のホームページの技術資料で公開しておりますので、ぜひご参照下さい。

節約される電力は、年間で数百万円にもなりますから、改造費の数百万円は、数年で回収できてしまいます。いくら省エネになるとはいえ、数百万円の改造費は先行の投資ですから、省エネは理解されても、大きな節電率は信用されないのか、なかなか、稟議がおりません。
しかし、実際に改造したお客様は、こんなに省エネになるのなら、もっと早く実行すれば良かったと申されます。改造されたお客様の中には、3年前に購入したばかりの試験室が有るが、こんなに省エネで、故障が少なくなるのなら、早めに空調機だけ入れ替えた方が、結果的に絶対に得策になると、そのまま追加で、次の改造のご注文を戴いた例も有ります。

お客様がご使用中の既存の装置が、一般的なPID方式ですと、冷凍機は固定能力ですから、そのままでは、省エネに改造は出来ません。省エネ化には、空調機の交換が必要です。
冷凍機だけ能力可変の出来るインバータ方式に交換して、制御盤の制御回路を現地で改造して、極端に省エネ化した例もありますが、この方法でも、高額な改造費用はかかります。

ここから本題の、夜間と休日の消費電力を落とす方法です。

省エネ改造で良く有る相談が、せめて、室内の発熱が減り、人が居ない夜間や、休日だけは、少しくらい温湿度が乱れても良いから、省エネに出来ないかと言うご希望です。

試験室の設計では、一般的に、室内の空気は、1時間に30回程度循環させますが、実際にこの風量を室内に流すと、紙やビニールが揺れ、精密天秤が使用出来ない環境になります。

仕方なく、風を嫌う計測器を囲っていたり、近くの吹出口をガムテープで塞いで対処している例を良く見受けます。
ボリウムダンパーを使用して、風量を抑えている場合も有ります。ダンパーで押さえれば、風量は落ちますが、消費電力は、逆に増えてしまうのです。
試験室が設定温度に到達する迄は、温度分布向上の為に、循環回数は多い程良いのですが、到達した以降は、低風速にしても、経験的に、意外に温湿度条件と温度分布は保てます。

送風機回路にインバータが無い場合は、インバータを追加して、運転開始時と、温湿度安定期、人の居ない夜間と休日の送風量を制御すると、これだけでも消費電力は低下します。

熱負荷が少なく、入室者もいない室内を、大きな能力で空調して、換気迄する必要は全く有りません。この時に、換気を停止して、室内の風量を落とせば、省エネになります。
既存の制御盤にウィークリータイマーを取付して、夜間と休日だけ、送風量と換気を落とすだけでも、かなりの省エネになります。

給気ファン、排気ファンが有る場合は、人が居ない時は停止させるか、インバータを追加して、その時の人数に合わせた換気をすれば、特に夏と冬は、大きな省エネになります。
換気量は、室内の炭酸ガス濃度を測定して、炭酸ガス濃度の上昇に合わせて、換気量を増やし、濃度が400ppm付近に低下したら、換気を減少させる等、自動化する事も可能です。

炭酸ガス(CO2)の室内基準は、1000ppm以下とされていますが、換気を停止すれば、炭酸ガス濃度は、直ぐに上昇しますが、1000ppmになっても、気が付く人は、まずおりません。
3000ppm程度になると、頭痛などの症状が現れます。炭酸ガス濃度計を室内に置いて、人数に合わせて、手動で換気量を替えても、省エネになります。
室内の酸欠を心配される人もおりますが、運転中の試験室が酸欠になった例は有りません。

一般的なPID方式の空調機を省エネ化する場合、一番問題になるのは、冷凍機やエアコンの能力は、可変出来ない事です。

温度は、±2~3℃、湿度は±20%程度になっても良いから、夜間と休日は、その範囲に温度が保持出来ないか? 運転を停止すると、室内は多湿になってしまうので、停止するよりは良いだろうし、大勢に影響は無いであろうと言う考え方です。
ウィークリータイマーで、夜間と休日は、換気を停止させ、室内の温湿度が上昇した時にだけ、冷凍機を運転させ、温湿度が低下したら、ヒーターと加湿器を運転させるだけの改造を依頼される事も有ります。運転停止させるよりは、室内の温湿度は大きく乱れません。
この様に改造すると、夜間と休日等は、極端に省エネな運転になります。

多少室内の温湿度か乱れても、出社する1時間前に、通常の運転に戻せば、直ぐに温湿度は元に戻りますから、その後の実験や、測定には、大きな影響は出ないと想定されます。
休日の精度が乱れていても、測定する訳では無いので、平均値で、その付近の温湿度が保てていれば良いと言う考え方です。

空調機が露点散水式の場合は、循環ポンプの水量を落とすと、空調機の能力が落とせますから、冷凍機はそのままでも、全体の消費電力を低下させる事が出来ます。
これも、ウィークリータイマーで夜間と休日は能力を必要最小限に落とし、出社する1時間前に、通常の運転に戻す方法が有ります。

これらの改造は、空調機には手を触れず、制御盤側の改造だけですから、高額な改造費はかかりません。実際の改造費用は、改造する内容や、その範囲により異なります。
御相談の上で、改造する範囲と、ご予算を決めております。

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