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用語集(ガス検知警報器と換気)

専門用語をわかりやすく解説します。

ガス検知警報器と換気

試験室は閉鎖された空間なので、換気をしなければ、室内の空気環境が悪化します。
過剰な換気を行うと、空調設備が大きくなります。
必要以上に換気すると、冬季と夏季は極端に消費電力が増えてしまい、無駄な電気料金がかかります。

換気量は、人ひとり1時間に20~30㎥を給気しています。
冬季や夏季は外気温湿度が大幅に異なるので、必要以上に換気量を増やすと、消費電力が極端に大きくなります。
人が不在の時や大勢の入室者が有る場合は、換気量は固定では無く、入室者に合わせて可変出来る事が理想で、消費電力が抑えられます。
室内人員が大幅に変化する場合は、室内の炭酸ガス濃度を検出して、炭酸ガス濃度が上がらない様に自動で換気量を制御すれば、無人の時は最小換気量に低下して省エネになります。

大気中に酸素は20.8%有り、炭酸ガス(CO2)濃度は417ppm程度有ります。
締め切ったお部屋の中で呼吸すると炭酸ガス濃度が上昇します。
2000ppmを超えると頭痛がして気分が悪くなります。
換気の悪い部屋に長く居ると、頭が痛くなるのはこれが原因です。
この場合酸素を消費しますから、酸素濃度も低下する事にはなりますが、酸素濃度は%のレベルで検出し、炭酸ガスはppmのレベルで検出しています。
炭酸ガス濃度の上昇で頭が痛くなっても、実際の酸素濃度の低下はほんのわずかで酸素濃度計では判りません。
人の呼吸では、先に炭酸ガスの濃度が上昇して息苦しくなりますから、人は外に出てしまいます。
試験室内が人の呼吸だけで酸欠になる事は絶対に有りません。

酸素濃度の低下は、室内に何らかのガスのボンベが有り、ここから大量にガスが漏洩しない限り、室内の酸素濃度が危険なレベルに低下する事は有りません。
実際の酸欠事故は、錆びた鉄タンクの中やトンネル掘削で、地中に溜まっていた酸素濃度の低い空気やメタンガス等が噴き出した時に発生します。

室内にガス警報機を取付けする場合、酸素濃度計を取付けしてもあまり意味が無く、炭酸ガス濃度計の方が健康管理には役立ちます。
酸素濃度は18%以下になると危険と言われますが、酸素は欠乏しても気分は悪くなりません。
ですから室内で窒素等をご使用になる場合で、ガスが漏れて酸欠になった場合は、漏れたガスに臭いが無いと気が付かない事が有ります。
この様な可能性が有る場合は、酸素濃度計が必要です。

酸素濃度15%の低酸素室に入室しても、今ここは低酸素だと言われなければ人は気が付きません。
但し、激しい運動をすると呼吸が荒くなります。
この濃度ではロウソクの火も自然に消えてしまいますし、ライターにも火が付きません。
これ程の酸欠状態でも、人は苦しくはならないので、本人が酸欠に気が付いた時は動けなくなっている可能性が有ります。

炭酸ガス濃度が少し上昇すると苦しくなるので、人は新鮮な空気が欲しくなり、部屋の外に出てしまいます。
炭酸ガス濃度上昇では、閉じ込めない限り死亡事故は起きません。

これらの事例から、酸素濃度計、炭酸ガス濃度計はあまり必要性を感じませんが、炭酸ガス濃度計の価格が下がって来ましたので、環境管理用として入室者の多いお部屋では、換気の目安として炭酸ガス濃度計を使用するのは非常に良い事であると思います。

一番怖いのは一酸化炭素(CO)です。
室内で火を不完全燃焼させますと、大量の一酸化炭素が発生します。
燃焼炉の現場で激しい頭痛がしたため、環境のCOを測定したら50ppmも濃度があった経験があります。
また練炭で暖を取り、CO中毒にかかった人を救助した事が有ります。
中毒にかかったと自分で分かった人が、自力では脱出できずにもがいておりました。
COは5000ppmを超えると、短時間で死亡する怖いガスです。
車内やテント内で、暖房に練炭や薪ストーブ等の火を使って死亡する事故が良く報道されておりますが、ご自身がCO中毒になったと気が付いた時には、おそらく自力では脱出が出来ないのだと思います。

いずれのガスも臭いが全くありませんので、感覚だけでは濃度が判りません。
締め切った試験室の中で火気を使用する場合は、CO検知器は絶対に必要です。
または、価格も一番安く購入できる警報機です。

 
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