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用語集(環境試験室)

専門用語をわかりやすく解説します。

環境試験室(かんきょうしけんしつ)

常温常湿の範囲を超えた物を、一般的に環境試験室と呼んでおり、人工気象室と言う呼び方も有ります。
業種により、低温低湿から低温多湿、高温低湿や高温多湿等、様々な要望が有ります。
良く有るご要望が、温度が-30℃~+60~150℃で、湿度は10~95%と言う物です。
これを何の試験にお使いになるか聞きますと、どうせ作るなら運転温湿度の範囲が広い方が良いだろうと言う、安易な考え方です。
本気でこの様なお部屋を作ったら、何千万円をかけても満足な試験室は出来ません。

環境試験室をお安く作るには、運転する温湿度範囲を必要最小限にすることです。
例えばマイナスの温度域は必要無いとか、20℃以下や40℃以上では調湿しないと言った条件で、運転範囲を狭めればかなりお安く作れるのです。

広範囲な温湿度条件が出せる装置が出来れば理想的ですが、例えば低温用のグリスは高温では溶け出してしまうとか、高温や低温で低風速にすると暖気は天井に停滞し、冷気は床付近に停滞しますので、温度分布が極めて悪くなります。
また、低温運転では窓の外側が曇り、高温多湿運転では内側が曇る等、運転条件によって空気の性質も異なります。
広範囲の温湿度の試験室を作ろうとすると、実はどこかに無理が出てしまうのです。
何にでも使える試験室は、実は何にも使えないと言う名言が有りますが、範囲を広げれば精度、省エネ性、故障率、使い易さ等、どこかに何らかの欠点が出て来てしまうのです。

この様に、低温と高温では空気の重さも性質も変わりますから、温度分布を高めるには吹出方向も条件により変える必要が有ります。
高温は床吹出にしないと温度分布が上がりませんし、低温は天井吹出にしないと温度分布が上がらないのです。
理想的には、低温低湿度用と高温多湿用に分けて2台設置すれば、これらの問題は全て簡単に解決する事になります。
ヒートサイクル試験用等の場合等では、弊社は高温と低温で風の流れる方向を切り替えており、温度分布が低下しない様に対処しております。

あまり知られていない事ですが、食品や薬品の保存試験(加速度試験)では、40℃/85%等の過酷な条件の要求が有ります。
実は、このお部屋には人が入る事は出来ません。
夏季に冷蔵庫からビールを取り出すと直ぐに瓶が濡れますが、この濡れる現象が発生する限界温度を露点温度と言います。
40℃/85%の空気の露点温度は37℃です。
人間の体温を36℃とすると、この温湿度以上では呼吸すると肺の中に結露して、肺炎になります。
また逆に、湿度が極端に低い高温の乾燥室等では、周囲の壁に触れると火傷をしますが、手袋をすれば150℃の条件でも人間は入室する事が出来ます。

環境試験室は、温湿度範囲が広くなる程価格が上がり、トラブル発生率も高くなります。
環境試験室を計画される場合は、温湿度条件を必要以上には欲張らずに、本当に必要な条件に絞る事が得策になります。

 
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